GDP:年率換算1.9%減の下方修正 7〜9月期改定値

毎日新聞 2014年12月08日 09時00分(最終更新 12月08日 17時53分)

14年7〜9月期のGDP
14年7〜9月期のGDP

 内閣府が8日発表した7〜9月期国内総生産(GDP、季節調整済み)の改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%減、年率換算で1.9%減となり、11月発表の速報値(前期比0.4%減、年率1.6%減)から下方修正された。企業の設備投資が0.4%減と速報値(0.2%減)から引き下げられたのが主因。実質成長率のマイナスは4〜6月期から2四半期連続で、民間の市場予測(年率0.5%減)を下回った。景気回復が遅れていることが、改めて示された形だ。【大久保渉】

 設備投資が悪化したのは、速報値段階での内閣府の推計に比べ実際の設備投資が弱かったため。財務省が1日に発表した7〜9月期の法人企業統計では、設備投資額が前年同期比5.5%増と大きく伸び市場では上方修正の観測が広がっていたが、「速報値段階では、それよりも強い数字を予測していた」(内閣府幹部)という。また、法人企業統計には含まれない金融・保険業や、資本金1000万円未満の個人事業主などで設備投資が弱含んだことも響いた。

 今回の改定では、より詳細なデータを反映させた2012、13年度のGDPの確報値も発表。これに伴い季節調整などの統計手法に変更があり、その影響で公共投資が速報値の前期比2.2%増から1.4%増に下方修正された。増税前の駆け込み需要の反動減が続く個人消費は0.4%増のまま。住宅投資、輸入はともに速報値段階から0.1ポイント悪化した。7〜9月期のGDPの大きな押し下げ要因となっている在庫投資のマイナス寄与度は0.6ポイントで変わらなかった。

 物価の変動を反映し、生活実感に近いとされる名目GDPも0.9%減、年率で3.5%減と、速報値(0.8%減、年率3.0%減)から下方修正された。一方、総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比プラス2.0%で3四半期連続のプラスだった。

 7〜9月期GDPは、今春の消費増税後の個人消費の回復が予想以上に弱かったことで速報値でマイナス成長に沈み、市場や政府関係者に衝撃を与えた。民間エコノミストの改定値の事前予想は、企業の設備投資の改善を見越し、マイナス幅が圧縮されると予想していたが、これに反し、改定値は下方修正となった。消費増税後の消費の停滞が、企業の設備投資にも悪影響を及ぼしている現状を改めて示した格好だ。

最新写真特集