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長寿研に福祉ロボ拠点新設 来年度、開発企業に実証の場

 国立長寿医療研究センター(長寿研、愛知県大府市)は二〇一五年度、高齢者の介護、福祉ロボットの開発と普及を目指す「高齢者生活活動支援ロボットセンター(仮称)」を新設する。全国の大学や企業の技術、製品の情報と現場の声を集約し、需要に合ったロボットの開発支援や実証の場を提供。連携する愛知県は、センターの隣に製品や試作品を実演展示したり、開発企業の相談を仲介したりする「実用化支援センター」を設ける。

 一月十七日に藤田保健衛生大(愛知県豊明市)で開く設立準備委員会には、リハビリロボットの開発を手掛ける自動車メーカーやオブザーバーとして経済産業省、厚生労働省なども参加し、産官学で取り組む。

 長寿研は病院と研究所が併設された高齢者医療の専門機関。機能回復診療部の近藤和泉部長(56)によると、現在のロボットはまだ高齢者の複雑な動きや反応に対応できなかったり、機能が限られたりして現場のニーズに合っていない製品も少なくない。長寿研は、より利用者の声を反映した完成度の高い製品の開発を支援しようと、ロボットセンターの設置を決めた。

 愛知県の市町村の担当者や福祉関係者らから、現場で必要とされている機能や要望などの「需要」を調査。その後、全国の大学や企業からどんな技術や製品を開発しているかなど、供給側の状況を聞き取り、データベース化する。現場のニーズに合わせ、各技術を組み合わせてできる新たなロボットを発案したり、各企業が互いに必要としている技術を紹介したりする。

 長寿研には高齢者の体の動きやバランス、筋力などを測定、分析する高度な設備や専門家がそろっており、開発したロボットの評価や実証に活用する。

 ロボットセンターは医学系と工学系の四つの研究室を来年四月に発足させ、病院の南病棟二階で八月に開所する。長寿研が企業などと共同開発しているロボットも置き、希望があれば見学や体験もできる。このセンターの隣室に県の実用化支援センターが夏ごろ開設される。

 長寿研は、改築費や調査費など千五百万円程度を一五年度予算案に計上。県は一五年度予算案に実用化支援費として、数百万円を盛り込む方針。

 近藤部長は「高齢化や人口減少で介護の人材も不足する中、ロボット開発は重要。ものづくりの技術を生かせば、日本人が得意なきめ細かな配慮が行き届いた生活支援のロボットができる」と話している。

 

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