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【走り出す日本力】
次代担う国産ジェット「MRJ」いよいよ今春テイクオフ
国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)。プロペラ旅客機「YS-11」以来、実に40年ぶりの国産旅客機となるが、三菱航空機が平成20年に開発を始めて以来、3度にわたる開発延期という苦難を乗り越え、いよいよ今春、初飛行のときを迎える。
MRJは、従来の同型機と比べ燃費が2割抑えられるほか、小型機ながら室内の広さなど高い快適性が売りで、まず市場に投入されるのは90席タイプ。現在、70席タイプの開発を進める一方、「100席タイプも欧州やアジアから要望があり、検討を進めている状況」(三菱航空機・川井昭陽(てるあき)社長)だ。
MRJのような100人乗り規模の小型ジェット機市場は、短距離の地方路線などを結ぶ格安航空会社(LCC)の相次ぐ参入と路線網増加などの追い風もあり、今後20年で世界で5千機規模まで膨らむと予想されている。川井社長は「20年後までに、市場の半分の2500機はMRJにしたい」と意気込む。
実機がない中でも必死の営業を重ねてきた結果、早々に25機の購入を決めた全日本空輸に続き、日本航空も32機の購入を決め、キャンセルができるオプション契約を含め計407機を受注している。
MRJはいま、愛知県豊山町にある三菱重工業の技術試験場で、機体の強度が航空機を安全に飛行させるために必要な基準を満たしていることを検証する「静強度試験」の真っ最中だ。