注 目 箱根駅伝、区間エントリー発表!

【BOX】田口、世界初挑戦奪取!井上から激励「うれしかった」

2015年1月1日6時0分  スポーツ報知

 ◆報知新聞社後援 トリプル世界タイトルマッチ ▽WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ 〇田口良一(12回 判定)アルベルト・ロセル●(31日、東京・大田区総合体育館)

 世界初挑戦のWBA世界ライトフライ級8位の田口良一(28)=ワタナベ=が同級王者アルベルト・ロセル(39)=ペルー=を打ちのめし、3―0の判定で下した。WBA世界スーパーフライ級王者の河野公平(34)=ワタナベ=は三者三様のドローで辛くも初防衛。田口の戦績は21勝(8KO)2敗1分け。河野は30勝(13KO)8敗1分けとなった。日本のジム所属の現役男子世界王者が9人に増えた。

 勝利を確信していた。試合終了のゴングが鳴ると、判定のアナウンスを聞かずに田口は両拳を突き上げた。世界初挑戦で頂点に上り詰めた。「本当に信じられない」。夢心地だった。

 王座奪取を決定づけたのは8回だ。序盤から要所で決まっていた鋭い左ボディーがついにロセルをとらえ、待望の初ダウンを奪った。続く9回も左ボディーでキャンバスにはわせた。序盤こそ硬かったが、3―0の判定で快勝。だが「KOできなくて残念。ダメですね」と反省が口をついた。

 ボクシングを始めたのは、試合会場の大田区総合体育館だった。姉2人を持つ末っ子。優しそうな顔立ちで、小学校の時はいじめられた。「自信を持ちたかった」と中学3年時に同体育館でのボクシング教室に参加し、興味を抱いた。芝商業高3年の秋にJR山手線から見えたワタナベジムに通い始めた。母校は高い就職率で評判だったが、バイトとボクサーの両立を選んだ。「逃げ道がなくなった」。退路を断って覚悟を示した。

 全日本新人王獲得などキャリアを重ねたが、新鋭に粉砕された。12年春にプロ入り前の井上尚弥(大橋)とのスパーリングを受け、2度ダウンした。隠れて涙を流した。「意地があった」と日本ライトフライ級王者になった13年8月に井上の挑戦を受けた。判定で敗れたが、ダウンはなし。「あの舞台が世界戦で生きるはず」と顔を上げ、チャンスを引き寄せた。井上からは試合前に会場で「頑張って」と激励された。田口は「うれしかった。(30日の)井上君の試合が衝撃的だったんで、意識してしまった。本当に強いですよね」と笑わせた。

 低迷期に「10年続けたら何かが変わる」との言葉を知った。ワタナベジム入門から丸10年。原点の地で夢をかなえ「感慨深い」と喜びをかみしめた。今春の初防衛戦は同級1位のペタルコリン(フィリピン)が有力。「ボクシングの魅力はKO。もっとパンチ力をつけるために精進を重ねたい」と進化を誓った。(三須 慶太)

  • 楽天SocialNewsに投稿!
ボクシング