変わるゲーセン:外国人、若い女性、家族連れもターゲット
毎日新聞 2014年12月31日 20時55分(最終更新 12月31日 21時45分)
◇外国人客対応で英語表記やカード決済も
かつては若い男性のたまり場だったゲームセンターが、新しい顧客を獲得しようと動き始めた。数年前から高齢者層の取り込みに力を入れているが、最近は外国人、若い女性、家族連れもターゲットにしている。少子化やスマートフォン(スマホ)のゲームの台頭で市場規模が縮小する中、あの手この手で集客を模索している。
「イエス、イエス。オーマイゴッド!」。東京都新宿区のゲームセンター「タイトーステーション新宿東口店」。豪州から観光に訪れたジョエル・ネーションさん(30)と妻エマさん(27)は、リズムに合わせて太鼓をたたくゲームに大はしゃぎだった。観光ガイド本に載っているのを見て訪れたという。「こんなに面白いゲームは初めて」と満足げだ。
同店の外国人客は全体の1割を超え、5年前の5倍程度に増えた。2014年6月からは、ゲームの遊び方などを英語や中国語などで掲示。全国18店舗で一部のゲームに使用するメダル交換にクレジットカードを利用できるようにしたほか、中国の決済カード「銀聯(ぎんれん)カード」を使える現金自動受払機(ATM)を6店舗に導入した。外国人客は「順調に増え続けている」(タイトー)という。
若い女性や家族連れの取り込みにも躍起だ。ナムコは11月、東京・原宿にシールプリント機の専門店をオープン。100種類以上の化粧品を30分間216円で使い放題のサービスが、女子中高生らのニーズをつかんでいる。また川崎市などの全国13店舗では、加熱・抗菌した砂場を時間課金制で設置。子どもが安全に遊べる場所として好評だ。
日本アミューズメント産業協会によると、13年度の国内ゲームセンターの市場規模は4564億円と、ピークだった06年度から35%減少した。昨年4月の消費増税後に節約意識が強まったことも、ゲーセン離れの要因だという。このため各社は客層の拡大に注力し、生き残りを図ろうとしている。【鈴木一也、神崎修一】