【箱根への道】明大(7年連続57回目)
66年ぶりの総合優勝を目指す明大は、4年生が充実している。中でも大六野秀畝(しゅうほ)は、11月の全日本大学駅伝のアンカーで区間賞を獲得し、チーム過去最高の2位でゴールテープを切った。3年連続で2区にエントリーされたエースは「最後はやっぱり勝ちたい」と伝統校に栄冠をもたらす考えだ。
紫紺の伝統校を牽引(けんいん)するエース・大六野はレース前、自身の携帯電話に入っている写真を見る。「年上の彼女からもらった」という天狗(てんぐ)のようなものが描かれている掛け軸だ。「勝負運が上がる」と言われてもらって以来、試合のアップ前に見ているという。全日本大学駅伝では青学大のエース・神野大地(3年)との38秒差をゴール直前で逆転し、チーム史上最高の2位。自身も区間賞を獲得し、“御利益”に授かった。それでも「2位で満足はできない」と力強い。
学生3大駅伝は1年時からフル出場。レースでの結果もさることながら、仲間からは「大六野はレースの時、本当に頼りになる。でも西(弘美)監督によく彼女のことでいじられている」というムードメーカー。昨年9月の全体オフだった日には同期13人で東京ディズニーシー・ツアーを決行。前日は大会で寮に戻ったのが午前0時前だったが、朝3時起きで舞浜に向かった。松井は「いつも仲がいいんで気兼ねなく楽しめた」というなど、チームを上から下から支える存在だ。
もちろん練習で手を抜くことはない。今年の夏前は左すね痛で走れない時期もあったが「ほかの選手より長く、多くやることを心がけた」というように、最後の1人になるまで居残り練習を敢行。時間が決まったジョギングでも少しでも他の選手よりも距離を走った。イメージするのは3学年上で、今年11月に1万メートル日本歴代5位の27分38秒99を記録した鎧坂哲哉(現・旭化成)。学生時代の11年に、同距離日本人学生記録(27分44秒30=当時)もたたき出した。「練習も試合もすごかった。僕もそういう選手になりたいし、後輩もついてきてほしい」と自覚も芽生えている。
29日に行われた区間エントリーで、3年連続で2区を担うことになった。同区には双子の村山謙太(駒大)、紘太(城西大)や市田孝(大東大)と、来春からともに旭化成に入社する強力なライバルがそろった。西監督から「ここで勝って自信をつけて社会人になってほしい」と期待されたエースは「このチームで最後に勝ちたい。みんなが力を出せる状態にするためにも、自分が流れを作りたい」。学生最後の駅伝で古豪を66年ぶりの総合優勝に導き、男を上げるつもりだ。(遠藤 洋之)=おわり=
◆大六野 秀畝(だいろくの・しゅうほ)1992年12月23日、鹿児島・いちき串木野市生まれ。22歳。明大政治経済学部4年。生福小3年から陸上を始め、鹿児島城西高2年の10年全国都道府県駅伝で鹿児島代表として出場。箱根駅伝では1年時1区6位、2年時2区12位、3年時2区5位。168センチ、51キロ。家族は両親と姉、妹。同大学の大六野耕作教授は遠縁。
◆明大競走部 1907年に創部。箱根駅伝は20年の第1回大会から出場し、今回が57回目。総合優勝7回(往路、復路優勝5回)。出雲駅伝の最高は7位、全日本大学駅伝の最高は2位。長距離部員44人。タスキは紫紺地に白で、大学名を縫い取っている。練習場は東京・世田谷区八幡山。主な大学OBに村山富市元首相、プロ野球・星野仙一前楽天監督、サッカー日本代表DF長友佑都(インテル)ら。
箱根駅伝