日銀総裁:追加緩和 新手法も 「物価上昇2%目標堅持」
毎日新聞 2015年01月01日 07時00分(最終更新 01月01日 11時13分)
日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は毎日新聞のインタビューに応じ、「物価安定目標の達成が難しくなるとコミットメント(約束)を緩める、ということでは、達成できなくなる」と述べ、2015年度前後に消費者物価上昇率2%程度を達成する目標を堅持すると強調した。目標達成の道筋から外れたりした場合は「必要な調整を行う」と強調。「調整のやり方はいくらでもある」とも述べ、新手法も視野に、一段の緩和に踏み込むことに含みをもたせた。
目標達成の判断材料として、消費者物価のほか、消費者や企業の物価見通しである予想物価上昇率が2%で定着することを挙げた。ただ、原油安や消費回復の遅れで、向こう1〜2年での2%到達は困難との見方が多く、一段の緩和圧力が強まる可能性がある。
日銀は14年10月末、原油安などによる物価上昇率の鈍化を理由に、市場から国債などを購入して資金を供給する金融緩和策の拡大を決定した。原油安は中長期的には景気を押し上げるが、短期的には物価を押し下げることから、黒田総裁は「日銀は従来、デフレ脱却に向けた本気度が疑われていた。昨年10月末時点で何もやらないと、コミットメントを緩めたと受け取られ、いつまでも2%の物価目標が達成できない状況になりかねなかった」と説明。電撃緩和の真意を明かすとともに、安易な目標変更は否定した。
目標達成と判断するには、指標となる消費者物価指数に加え、「予想物価上昇率も2%で定着している状況」と説明。企業や消費者が「将来にわたって物価はおおむね2%で安定する」との認識を共有したと判断できるまで、緩和を続ける意向を明らかにした。
追加緩和の効果については、政府と経済界、労働界の代表らが、今春の賃上げに向けて最大限努力することで合意した点などを挙げ、「企業や家計は、物価が緩やかに上がっていくことを見据えた行動をしている」と述べ、効果が出ているとの見方を示した。政府に対しては、「財政再建や成長戦略、構造改革は日銀がやれる話ではない。役割分担ははっきりしている。しっかりやっていただきたい」と述べ、17年4月の消費再増税などを強く求めた。