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【特集】コムデギャルソン川久保玲に聞く

  • New!2015年1月1日 06:00

未来を作る創造業たれ


 常に今までにない新しい服を探し続けてきたコムデギャルソンと川久保玲。既存の〝きれい〟にとどまらず、異型の美を探すクリエーションは、時に人々を悩ませ、畏怖すら感じさせる。今までにない概念、新しい美しさは、見る者や着る者にも価値観の転換を迫る。その歴史には、それぞれの時代を象徴するコレクションがある。

 「黒の衝撃」で西洋の美と対峙(たいじ)した時代、「ボディミーツドレス、ドレスミーツボディ」で異型の美を宣言した97年春夏。そして、14年春夏以降の「モンスター」などの3コレクションは、また一つ、服の概念を壊し広げ、新しい服のあり方を提起しているように思える。コムデギャルソンはどこへ向かうのか、クリエーションをビジネスとしてどう成立させているのか。川久保に聞いた。


挑戦、その精神性を柱に

 今まで無かったもの、新しい服を作ることを柱にしてきた会社です。その部分を更に、更に、ということで日々仕事をしています。ここ3回のコレクションのやり方が変わったと思われているかもしれません。それもこの考えに関係しているのです。今まで無かったもの、もっともっと刺激を与えられるような本当の服を作りたい。

 でも、それはそんなにたくさんできるものではない。だから、コレクションは象徴として考えたいというのが最近の気持ちです。クリエーションの象徴は精神的な部分も含めて強いものがあり、一方で、クリエーションをビジネスにする別の土台、別の部屋が必要です。やや線を引いた仕事をしていかなければならないかなと考えています。象徴としてのコレクションという風に割り切ったのです。

 もちろん象徴で終わってはダメですから、象徴の気持ちを実際のビジネスに落としていかなければならない。それは数字が絡むので線引きが非常に難しい。クリエーションをビジネスにする、ビジネスをクリエーションするというのは、様々な状況に対応できるように、個性があり独立したブランドをいくつも作ることもその一つです。それをどう展開していくかとなると、やっぱり店作りが重要になる。

 本当はビジネスもクリエーションです。究極のクリエーションをビジネスにしていくには、数字を追うだけでは意味がない。いかにクリエーションのビジネスを作りあげるか。これも私のすごく大きな仕事です。

15年春夏コレクションから(写真=大原広和)

15年春夏コレクションから(写真=大原広和)

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