大須:初笑い、三つの落語会が演芸場“場外バトル”名古屋

毎日新聞 2014年12月22日 14時30分(最終更新 12月22日 15時47分)

 東海地方唯一の常設寄席小屋だった名古屋市中区大須の大須演芸場が閉鎖されて10カ月。その大須で来年1月1〜4日に、異なる主催者による三つの落語会が別会場で開かれる。それぞれの主催者にとっても想定外の“大須落語バトル”で、名古屋、東京、上方の芸人たちが入場者を奪い合う三つどもえの戦いに。出演者たちは「ウチの会が一番面白いはず」と“初笑わせ”にファイトを燃やす。【尾崎稔裕】

 ◇異なる主催者、別会場で来年元日から

 開催されるのは、地元の芸人でつくる「東海地方に演芸を広め隊(海演隊)」が中心の「海演隊大須初席」▽上方のベテランと若手が集結する「桂文我新春落語会」▽立川流の落語家らを招く「初笑特選大須寄席」で、計19公演。いずれも大須演芸場で活躍した経験があるメンバーが出演する。1日で全公演を楽しむことも可能だ。

 正月の寄席興行は「初席」と呼ばれ、常連出演者が勢ぞろいする。大須演芸場でも閉鎖までは毎年元日から開かれ、大須観音への初詣とセットで初笑いを楽しもうという大勢の来場者でにぎわった。演芸場は今年2月に閉館したが、「芸人が寝正月を決め込むわけにはいかない」と、三つの会の主催者たちが、それぞれ「初席」を計画した。

 ◇演芸場閉鎖、にぎわい絶やすな

 「海演隊大須初席」は落語、講談、マジック、漫談など地元芸人が総出演する。会を運営する田邊靖彦さん(71)は、「大須演芸場早期再開応援団長」を自称。「大須の町から正月の演芸がなくなれば、長年楽しみにしていたお客さんや出演芸人たちが“初席難民”になってしまう」との危機感から企画した。

 三重県松阪市在住の桂文我さん(54)が主催する「桂文我新春落語会」は、ベテランと若手実力派の上方落語家5人が、初春にちなんだ落語1席ずつを口演するほか、大喜利、珍芸大会、福引大会の日替わりのお楽しみコーナーも。

 「にぎやかな上方の正月の雰囲気をたっぷりと味わっていただける産地直送の出前寄席です」と文我さん。

 「初笑特選大須寄席」は、東京落語を中心に、日替わりで講談、コミック音楽、活動弁士トークなども組み込んだ寄席スタイルの会。

 席亭を務める快楽亭ブラックさん(62)は「初笑いを東京の寄席の雰囲気と共にお届けします。ご家族やカップル、お一人様にも楽しんでいただける内容です。初詣のついでに、ふらりと気軽にお立ち寄りを」とアピールしている。

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