井上は戦い方変えろ

　減量苦でＷＢＣ世界ライトフライ級王座を返上し、２階級上のＷＢＯスーパーフライ級王座に挑戦する井上だが、はっきり言って、かなりの冒険だ。陣営は当初、１階級上げての２階級制覇を考えていたが、２階級上とは…。井上の「強い王者とやりたい」のひと言が決め手となったというが、大橋会長は天才といわれる井上の限界を測りかねているようにも見える。

　井上はアマタイトルを総なめし、プロ６戦目と日本人最速で世界王座を奪取。今度は８戦目での最速２階級制覇がかかる。だが、ナルバエスは簡単な相手ではない。前日計量でベールを脱いだその肉体は頑丈そうで、自信に満ちていた。今回が１２度目の防衛戦で、勝ち方を知っている。

　井上はスピードがすべてだ。相手の分厚い胸板をぶち抜くには相当の覚悟が必要だろう。これまでとは戦い方を変えないと厳しい。歴史に残る名勝負にも、凡戦にもなりえる。　（格闘技評論家）