パチンコ屋の倒産を応援するブログ

石原都知事が官能小説家であることをあらかじめ指摘しておきたいです。

その上で、今回の一方的なやり口の裏には
国会で児童ポルノ法による漫画規制がどうにも進みそうになく
去年はそれで失敗した事が背景にあると思います。

出版社は基本的に都内に固まっているので、
国政ではなくても都の条例で規制するという手に変えて来たのだと思います。
最終的には漫倫みたいなものを作ってそこを利権化させるかもしれません。

さて、そうした背景とは別に、
今回の規制のやり方には大きな問題があります。

抽象的文言による表現規制条例を作り、
都の職員がそれを金科玉条として拡大解釈できる上、
出版側がそれに対して抗議する事を一切認めていません。
出版社側も出してから回収させられたら大赤字ですから、
漫画を書く段階から自粛していくことになるでしょう。

私はどのような表現規制も反対です。

今回、小説や実写は対象外となっている事、
これに対する明確な説明は未だなされていません。
漫画、アニメによって影響を受けて犯罪を犯すから規制しろというのですか？
教育上良くないから、見せたくないから規制しろと言うのですか？
それならば実写や小説がその範囲から外されている事に
納得できる論理的回答が行われていない事はおかしいでしょう。
漫画とアニメという攻撃しやすいところから攻撃してきただけでしょう。

80年前、私たちの国は同じように攻撃しやすいところから攻撃し、
言論を少しずつ封じ込め、それを拡大していくことで国内に言論の自由が無くなり、
新聞が世論を煽るだけ煽って戦争へ向かって行きました。
地獄への道は善意で敷き詰められている。という言葉があるようですが、
善意を盾に使うのは実に安直で取るべきではない方法です。

以前、
【子宮頸がんワクチンは果たして必要か？】
で書きましたが、善意を刺激することで
反対意見を容易に封じ込めることが出来ます。
善意、感情論、正義などというものは、戦前の日本を暴走させたように
下手な悪意よりも間違った方向へ進ませる力が強いです。
ですから、論理的、科学的に根拠を示す事が必要です。

今回は子どものためという大義名分で強行しましたが、
そんなものは親が子どもにしつければ良いでしょう。
都知事の書いたレイプ小説だって
私から見れば子供にとって有害、悪書です。
ですが、私が親ならば「そんなポルノ小説読んで真に受けるなよ」
程度で済ませるでしょう。
ポルノ小説を読んでそれを真に受けて問題を起こすのであれば、
それはその人間の資質、教育の問題だと考えるからです。

鬱、自殺者を作り出しそうな点では太宰治の人間失格は悪書だと思います。
私は高校の時にあれを読んでかなり気持ち悪くなりました。
ですが規制しろ、書店で子どもの手の届かない所に必ず隔離しろなどとは思いません。

表現というのは受け取る側の主観が大きく左右する物です。
そこに抽象的な文言による規制が行われれば、
運用する担当者の主観によっていくらでも拡大解釈が可能になります。
ですからいかなる表現規制に対しても私は反対します。

あまりに酷い描写だとしてそれで問題になれば商売になりません。
商業誌が潰れるのは「売れない」からです。
売れない、あるいは発売後に回収等を強いられる
というのは現状でもしばしば起きています。
ですから漫画を書く段階で編集の方でそうした表現はボツにされます。

そこへわざわざ介入して「規制されたくなかったら書くな」
と、抽象的な文言で規定していれば
それに抵触しないようにさらに編集、作家側での萎縮効果を生みます。

猪瀬直樹氏は
近親相姦の描写があっても手塚治虫の火の鳥は規制されない
傑作を書けば条例なんて吹き飛ぶから傑作を書けば良い
と言っています。

猪瀬氏本人が全て判断するのならそれで良いかもしれません。
猪瀬氏の責任だとはっきりわかりますからね。
しかし、猪瀬氏が判断するわけではありません。
担当職員が「ダメ」と判断すれば出せません。

傑作かどうか判断をするのは最終的には読み手です。
傑作ならば良い、駄作なら認めない。
規制を作る側の人間がこれでは、恣意的運用ができるという事でしょう。
法律というものは杓子定規で運用されることが本来の理想です。
そうでなければ不当に不利益を被る人が出ます。

都知事に至っては「自分では見ていない」そうですが、
「漫画が子供に有害でないというのなら、馬鹿だねそいつら」
とまで言っています。
この言で偏見を元に感情論で推し進めている事がわかります。

また、今回の規制条例では犯罪を犯している事を規制するのではなく、
「犯罪について表現すること」を規制するものです。
レイプについて表現した漫画は規制され、
レイプについて表現した都知事の小説は規制外です。
実写だったら本当にレイプかもしれませんが規制対象外です。
漫画は有害で小説や実写は無害。わけがわかりません。

「犯罪が起きていなくても有害だと思うから」
として表現することを規制することは
非常に危険な言論規制の扉を開きかねません。
私はいかなる表現規制についても反対です。



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