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投稿者: kinokino 投稿日時: 2010-3-12 17:37:12 (3193 ヒット)

3月12日、出版労連は、現在東京都議会で審議されている青少年健全育成条例の改定案に反対する要請を東京都議会総務委員会所属議員と都議会各会に対して行いました。提出した「要請書」を掲載します。




東京都議会各会派 御中
東京都議会総務委員会所属議員 各位


青少年条例の改定・強化に反対してください(要請)

 私たち日本出版労働組合連合会は、出版社、取次、書店、専門紙、フリーランスなど出版関連産業に働く労働者約6000人で組織する唯一の産業別労働組合です。1958年の結成以来、憲法で保障された「言論・出版・表現の自由」と「流通の自由」は、出版産業の存立・発展を保障する最も重要のものと位置づけています。それは、戦前の言論統制が招いた悲惨な戦争やあまたの犠牲の反省に立つものでもあります。
 私たちは、表現活動は基本的に自由であるべきと考えています。したがって、行政措置としての図書規制には反対であり、東京都の「不健全」図書指定制度を容認する立場にはありません。ただ、1964年に制定された東京都青少年条例は、他の自治体の条例とは異なり、事業者による自主規制の尊重を明記する希有な条例として、様々な問題はありつつも事業者や規制強化に反対する市民、労働組合などの監視・要請を受け、それなりに謙抑的に運用されてきたことに一定の評価をもっていました。
 ところが、2004年の条例改定後、青少年条例の担当部署が従来の生活文化局から新設された青少年・治安対策本部に移管されたことで、青少年問題の取り組みが福祉的対応から取締りを基本にした管理的対応に変化したと認識せざるを得ないものとなりました。
 このほど、東京都議会に提出された青少年健全育成条例の改定案は、2004年来の方針転換(さかのぼれば1999年にその萌芽があった)をさらに推し進める内容であり、私たちの危惧が杞憂ではないことがはっきりしました。しかも、図書規制のみならず、市民個々人に対する規制(個人規制)にまで踏み出そうとするものだと、認識せざるを得ません。
そもそも、青少年・治安対策本部が条例改定を目指す根拠とした、第28期青少年問題協議会は、従来公開で行われていた会議が総会と拡大専門部会を除いて、傍聴を許さないなど密室的に進められたもので、起草委員会の議事録はいまだ公開されていません。このように、今回の条例改定案は議論の内容において、また上程に至る経過にも不透明な点が多々あり、民主的な運営とはいえません。
以下、出版産業で働くものとして、また、言論・表現活動に直接携わる立場から、青少年条例の改定案について、その問題点を下記のとおり具体的に指摘しました。
都議会議員の皆さまにあっては、慎重なる審議のもと、ぜひとも条例改定案に反対してくださいますよう要請いたします。


          記

1.「非実在青少年」の描写にかかわる「不健全」指定制度及び「表示図書」規制の新設について

 法と道徳を一体化し、表現の自由を侵害する「不健全」図書指定制度の拡大に反対します。「非実在青少年」にかかわる性表現を新たな「不健全」指定の事由に追加するとした改定案第五条の二第2項及びこれに連動した「表示図書」の規制にかかわる第九条の二第2項は、表現に対する「内容規制」をいっそう推し進めるものであり、新設を認めないで下さい。

(1)図書規制は、公権力の憲法遵守義務に違反します
(2)条例を改定する理由を見いだすことはできません
(3)創作表現における登場人物の年齢確認はどのように行う?
(4)条例改定の根拠とされた青少協の議論の中身と委員の偏りに疑念があります
(5)「非実在青少年」なる概念を「表示図書」に強制することは容認できません
(6)国会の審議でも、創作物の規制に疑義が出ています

2.「表示図書類に関する勧告等」にかかわる条文について

 出版業界では「R18」等を表示した出版物は、成人向けコーナーなどで区分陳列(ゾーニング)を行っています。これは、あくまでも業界団体や出版社が自主的な判断のもとで行っているものです。にもかかわらず、公権力が出版社や自主規制団体に「自主規制」を行うよう勧告し、従わない場合、公表するというのは、「不健全」図書指定による販売規制以上の効果を有しかねない、実質的な「権力規制」となってしまいます。また、前項の指定事由の追加同様、憲法上の表現の自由を制限する条項であることは明らかです。第九条の三第2項?4項の新設を認めないで下さい。

(1)表現の自由を侵害する「内容規制」を容認できません
(2)「自主規制」の悪用が危惧されます

3.児童ポルノにかかわる条項について

 すでに、現行児童ポルノ処罰法によって、いわゆる「児童ポルノ」の取締りが行われており、東京都が条例化して規制を行えば屋上屋を架すことになります。また、国会においては、児童ポルノ処罰法の改定案が上程されたものの、法務委員会の審議においては「単純所持」の処罰化の導入などに疑義が呈され、また、3号ポルノの定義など現行法のあいまいさが指摘されているところであり、これらの問題点を捨象する条例改定は容認できません。国会の動きを静観し、改定案の第三章の三「児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備」の条項すべてを削除して下さい。

(1)国会審議では自民・公明党改定案はもとより、現行児童ポルノ処罰法の問題点も明らかになっています
(2)条例改定案は、法と道徳の分離を蔑ろにしています
(3)拡大解釈を可能にする不自然な条文があります

4,ネット規制にかかわる条文について

 出版各社とかかわりの深いケータイ小説やデジタルコミックは青少年の日常に浸透し、生活の一部にもなっています。条例による規制によって、青少年のこれらのメディアとの接触機会が損なわれてはならないと考えます。
 一方で、ケータイマンガなどを事業化している出版社で構成するデジタルコミック協議会は、「18禁」マークを制定し、区分販売の態勢を整えたものの、携帯キャリアの公式サイトでは大人への販売そのものが困難な状況となっていると聞いており、条例強化によって、(条例が関知しないはずの)大人への販売がいっそう厳しくなる事態が予想されます。
 青少年のメディアとの接触機会を保障すること、事業者の活動を阻害しないことに留意すべきだと考えます。
 携帯キャリアやネット関連の自主規制団体からは、改定案は憲法違反の条項があるとの指摘もなされていると聞いています。過激な規制を行うべきではありません。

5.改定案全体の問題点について

 現行の条例では、「青少年にとって不健全」という前提のもと、「有害」の用語の使用を排除しています。実際には「有害広告物」の条項に使われているだけでした。ところが改定案では、ネット規制と児童ポルノ規制にかかわる条文に、固有名詞(法律名)とは別に、「有害」の用語が挿入されていました。1964年の条例制定時の都議会の議論を踏まえるならば、特定の価値観を反映した「有害」の用語は使うべきではありません。言葉だけの問題のように見えますが、規制範囲の安易な拡大だけでなく、条例の変節を追認することになってしまいます。あらためて、「不健全」の用語が使われている意味合いを再確認してください。

6.現行条例の不備とそれに付随する問題について

 私たち出版労連は、2003年12月17日に第25期東京都青少年問題協議会各委員並びに東京都に宛てて、「自主規制型条例を堅持し、慎重審議を求める要請書」を、2004年2月2日には都知事に宛てて「第25期東京都青少年問題協議会答申に対する意見」を提出し、その際、「不健全」図書指定の可否を審議する健全育成審議会の全面公開、「不健全」指定の取り消し・異議申立手続きの整備、国連・子どもの権利条約にもとづく子どもの意見表明権の尊重も同時に求めています。これらはいまだ実現していません。また、従来、傍聴が認められていた青少協の会議が、今期は総会と拡大専門部会を除き、全面非公開となりました。密室審議の結果、異常な答申がまとめられてしまったといえます。条例改定案の審議に際しては、以上の事柄を精査し、諸手続の整備、徹底した情報公開を是非とも実現して下さい。

(1)指定処分取り消しの手続きの不備を改めるべきです。
(2)密室審議となっている青少年問題協議会や健全育成審議会の運営を改めるべきです
(3)当事者たる青少年の声を聞いてください

 以上の点をご考慮いただき、「言論・出版・表現の自由」と「流通の自由」を侵害する条例強化に反対するとともに、条例の不備を正して下さるよう要請いたします。

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投稿者: kinokino 投稿日時: 2010-2-5 15:51:00 (1005 ヒット)

「横浜事件」刑事補償交付決定=実質無罪判決に関する声明

 戦時下最大の言論弾圧事件である、私たち出版労働者の先輩たちが犠牲となった「横浜事件」の再審で、第3次・第4次の再審請求で有罪・無罪の判断をせずに、「免訴」判決を受けていた元被告5人の遺族が申し立てた刑事補償請求について、横浜地裁(大島隆明裁判長)は、2月4日遺族の請求どおりの約4700万円の補償金を交付する決定を下した。
 決定は、有罪の証拠とされた自白に関して「激しい拷問で生命の危機を感じるなどした結果、やむなくした虚偽の自白」と断じ、「再審公判で実態判断をしていれば無罪判決を受けていたことは明らか」と実質的な無罪判決を下した。横浜事件が権力の「でっち上げ」による思想弾圧であったことが、改めて明らかになった。
 さらに検察官や裁判所の責任について、決定が「有罪判決は特高警察の思い込みの捜査から始まり、司法関係者による事件の追認によって完結した。各機関の故意・過失は重大」と、司法当局が自らの過ちを明確に認めた点は重大な意義がある。
 しかし、この名誉回復を勝ち取るために、有罪判決から65年、1986年の第1次請求から24年もの長き時を費やし、元被告5人全員が亡くなられたことを、司法は重く受け止めるべきである。近年では、足利事件にみられるように、虚偽の自白による冤罪事件が繰り返されているように、権力による犯罪は許しがたいものである。
また、ビラ配布弾圧事件など、言論・出版・表現の自由に対する抑圧が強まっている。私たちは、出版関連産業に携わるものとして、すでに故人となられた「横浜事件」の先輩たちの遺志を継いで、憲法に保障された出版・言論・表現の自由を守り、平和で民主的な社会を実現する運動にとりくんでいく決意を明らかにするものである。

 2010年2月5日
            日本出版労働組合連合会
            中央執行委員長 大谷 充


投稿者: kinokino 投稿日時: 2009-12-2 10:44:00 (655 ヒット)

【声明】
葛飾ビラ配布弾圧事件に対する最高裁判決に抗議する


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投稿者: kinokino 投稿日時: 2009-10-22 0:34:00 (1003 ヒット)

黒薮哲哉さんが読売新聞社から提訴された「名誉毀損裁判」のさいたま地裁勝利判決についての声明

「押し紙名誉毀損裁判」(平成20年(ワ)第613号 損害賠償等請求事件)で、2009年10月16日さいたま地方裁判所第5民事部(片野悟好裁判長)は、「理由がない」という考えを示し、原告らの請求を棄却しました。9月16日の「著作権裁判」における東京高裁での勝利判決に続き、黒薮哲哉さんが読売新聞社に勝利したのです。
 この「押し紙名誉毀損裁判」とは、九州の久留米市で読売新聞の「押し紙」(新聞社がその優越的地位を利用して、実際の配達部数を上回って新聞販売店に強制的に買い取らせている過剰な部数の新聞のこと)に対して過剰供給の中止を求めた販売店が、読売新聞から一方的に販売店契約の解除を申し渡され、それに伴って、当該販売店と読売新聞社および読売新聞社の意向を受けた折り込みチラシ委託業者との間で起きたやりとりを、黒薮さんが自身のホームページ「新聞販売黒書」で取り上げたことに端を発しています。ことの緊急性を考慮した黒薮さんが、当該販売店の関係者から聞いた情報をもとに、読売新聞社が犯罪にも等しい行為をしたという記事を「新聞販売黒書」に載せました。その内容が名誉毀損にあたるという主張のもとに、読売新聞社が黒薮さんを訴えたのです。
 黒薮さんは「新聞販売黒書」に上記の記事を載せた翌日には、読売新聞社側に状況の説明を求め、その全文を「新聞販売黒書」に掲載する旨のメールを送りました。しかし読売新聞社側はその申し入れに答えず、いきなりさいたま地裁に訴えたのです。
 結局、さいたま地裁は、その訴えそのものの正当性を認めず、黒薮さんに勝利判決を言い渡しました。日本の言論界の中心にいる、国内最大の新聞社が、一人のジャーナリストの追及に対し、言論で反論することをせずに力でねじ伏せようとする姿勢を繰り返しています。先の著作権裁判も今回の名誉毀損裁判も、私たち出版界で働く者の目には物言うジャーナリストに不当な圧力をかけるためのものであるとしか映らない、非常識なものです。
 出版労連はこの判決を全面的に支持するとともに、出版労連・出版ネッツの組合員である黒薮さんのたたかいをご支援いただいた各界の皆さまに厚くお礼申し上げます。
 黒薮さんは今回の「名誉毀損裁判」の他に、「押し紙」問題を取り上げた週刊新潮の記事に関連して新潮社とともに5500万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴訟を、読売新聞社から起こされています。こちらも言論弾圧を目的とするものと言っても過言ではありません。
 出版労連は、「言論・出版・表現の自由」を運動の基本としてとりくんでいます。これからも「言論・出版・表現の自由」を守るために全力でとりくんでいきますので、各界の皆さまの絶大なご支援をお願いいたします。
以上

2009年10月21日
日本出版労働組合連合会(出版労連)



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