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平時でも有事でもない「グレーゾーン事態」激化懸念 防衛研が「東アジア概観」
一方、昨年12月の安倍晋三首相の靖国神社参拝に対する韓国の反発も分析。歴史認識の問題以外に「韓国にとって中国の重要性が増大し、日本が相対的に低下している」との側面を挙げた。その上で「政治レベルでの関係改善の遅れが(日韓両国の)防衛協力に影響を与える可能性も生じている。日韓双方の指導者の決断が求められる」と関係改善を求めた。
米中関係では、米国について「中国周辺での偵察活動や海洋権益や領土をめぐり、中国の主張に譲歩することにはならない」と分析した。中国については「米国との対立や衝突を避けながらも米国との対等な関係を模索する」と推測しつつ、「周辺国には海洋権益や領土問題でこれまで以上に独自の主張や行動を強めていくと予想される」と警戒感を示した。
一方、北東アジア情勢が深刻化する一つの原因として、国防力増強や安全保障関係の強化が、周辺国の対抗的な政策を引き起こし、結果的に軍事的緊張関係を高める「セキュリティジレンマ」が顕在化していることにも言及。首脳間の対話や国際交流、防衛交流の積み重ねが必要だとした。