夏樹陽子さん インタビュー

モデルから女優へ、そして夏樹陽子の誕生

—- 今日はそもそもモデルをなさっていた夏樹さんが映画女優に転身、東映の娯楽作で活躍を始められた頃のお話をお伺いしたいです。まずモデルとしてCMやグラフィック広告に引っ張りだこだった夏樹さんがどうして女優を志されたのでしょう。

夏樹:モデルの仕事は売れて忙しかったけれども、これは若いうちだけの仕事なんだろうなとも気づいていましたね。たとえば今みたいに40代、50代の人も活躍できる雑誌があるような時代とは違って、当時は目じりにシワが出来たらポイ、という使い捨てが普通でしたから。そこで女優なら一生の仕事に出来ると思ったんです。シワが出来たらお婆さんの役をやればいいわけですから。それに私は短いCMの中などでも、役になりきるのが好きだったので、女優は向いているのではと思ってはいたんですね。それで、知人のプロデューサーのご縁で東映を紹介していただきました。

—- 最初の映画の現場は何だったのですか?

夏樹:ちょうど多岐川裕美さんの新作「さそり」を撮影するので、そこにワンシーンだけカメラテストということで出てみないかと言われまして、秘書の役で台詞二行だけ覚えて出たんですね。「先生、官房長官からお電話で、すぐ首相官邸においでくださるようにとのことです」(笑)。もうこの二行の台詞に命かけてる気分だったから、今もって忘れないですねえ。まだクレジットは本名の藤井眞紀でした。

—- 夏樹陽子という芸名はどこで誕生したのでしょう。

夏樹:そのワンシーンの出演を経まして幸運にもすぐに山口和彦監督の「空手バカ一代」のヒロインをやらせて頂くことになったんですが、その時に名プロデューサーの天尾完次さんから「夏樹陽子」という名前を頂きました。それから多岐川さんの「さそり」は小平裕監督だったんですが、そう言えばけっこうこの子よかったじゃないかということになって、新作「新・女囚さそり特殊房X」の三代目さそりに選んでくださいました。

1 / 41234