米国の特に親密な同盟関係が弱まる中、それに代わる新たな同盟国の確保は難航している。オバマ大統領を努力不足と責めることはできない。大統領就任以来、オバマ氏はインド、ブラジル、インドネシア、さらにはプーチン氏がドミートリ―・メドベージェフ大統領(当時)の下でナンバー2を演じていたわずかな期間にはロシアにまで秋波を送ってきた。だがほとんどのケースでは拒絶あるいは無視されてしまった。
大統領就任当初は理想主義にあふれていたオバマ氏だが、ほぼ完全に現実路線に転換した。人類共通の理想を追い求める姿勢は、強硬な現実主義に変わった。だが、そうした変化によって結果に違いが出ているとは言い難い。
■オバマ氏の「注意欠陥外交」
サウジアラビアはますます米国と距離を置こうとしている。米国が中東地域での主導的地位を放棄しようとしていると見ているためだ。インドは重要な問題をめぐって米国を支える義理はないと考えている。先月にはプーチン大統領はクリミア半島を分割する権利があると擁護する姿勢を見せた。トルコは湾岸諸国と同じように、米政府がシリア問題に真剣に対応しないことに不満を持っている。そして先週末に大統領選挙の第1回投票を終えたばかりのパキスタンは、アフガニスタンと同じように、米国の警告を無視することを何とも思わなくなっている。ブラジルのジルマ・ルセフ大統領は昨年10月、米国家安全保障局(NSA)の盗聴スキャンダルに抗議して、ブラジル大統領として20年ぶりの公式訪問を中止した。ドイツのアンゲラ・メルケル首相はたとえ招かれたとしても、訪米するか疑問だ。
こうした状況を招いた一因は、オバマ大統領の“注意欠陥外交”にある。ブリュッセルでの演説では、NSAのスキャンダルが欧州の対米不信感の最大の要因であるにもかかわらず、それにひと言も触れなかった。TTIP交渉を活性化しようという努力も申し訳程度にすぎなかった。欧州のあるベテラン外交官は、貿易交渉に関するオバマ大統領の非公式なコメントを「受動攻撃的」と評した。攻撃的と批判されたジョージ・W・ブッシュ前大統領でも、その人間味ある行動は欧州の高官に好意的に評価されていたのとは対照的だ。国内政治と同じように世界政治の場でも、オバマ氏は少数の信頼できるアドバイザー以外と交わろうとしない。
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