特集

気づいたら今年は10周年!せっかくなのでデジタルカメラ業界の10年を振り返ってみた(2011年〜2012年編)

東日本大震災、そしてタイ洪水…それでも魅力的な製品発表が続く

デジタルカメラ業界の10年を振り返る無謀なこの企画も、ようやく折り返し点をすぎました。「今年10周年だから」と始めた企画なので、何とか2014年中に終わらせるつもりでしたが、色々あってあきらめました。そろそろ紅白もトリですし。残りの「2013年〜2014年編」は年が開けてから、何事も無かったかのようにお届けすることにします。ええ、悪いのはすべて私ですから。

今回もこれまでと同じく、写真家・山田久美夫さんとデジカメ Watch編集長の折本による、丁々発止のやりとりからピックアップしました。

2011年〜2012年編以外のページはこちらになります。

2004年〜2006年編 創刊前夜からHOYAペンタックス合併発表まで
2007年〜2008年編 D3、5D Mark II、裏面照射型CMOSなど
2009年〜2010年編 E-P1、NEX-5などミラーレス群雄割拠へ。超高感度ワールドも開かれる

帰省先の実家で作業していますが、無線LANが思いのほか速くて助かっています。誰も使っていないのがもったいない……気を取り直して今回もどうぞ!(デジカメ Watch編集長 折本幸治)

2011年:2つの大災害に見舞われたカメラ業界

山田:この辺からオリンパスが高級コンパクトの本格的なイメージでブランドを打っていくようになりましたね。いいカメラだったな。センサーが小さくてもレンズが明るければ同じようなボケが得られるって言ってましたね。レンズとセンサーが一つの組み合わせとして考えた中で出てきたカメラで、オリンパスらしいですよね。

折本:PEN用のEVFが装着できたり、コンパクトでは使えなかったアートフィルターが搭載されていたりと、コンパクトとマイクロフォーサーズの中間のようなカメラだと思いました。

山田:60pでフルHD。デジタルカメラの動画機能がいくとこまでいったなって印象がありました。しかし、有機ELディスプレイは、このあと、ほとんど見かけなくなりましたね。ちょっと残念な感じがします。

折本:この頃、スピードの進化を謳い文句にしていたのは、動画対応のためでしょうか。

山田:そうですね、フルHDの60フレームとかはこれから入ってくるので、その対応ですね。やはり、カメラの高速化は、メモリーカードの高速化なしに実現できませんからね。

山田:顔料の定番モデルになりましたね、このモデルは。ほんとうに長く使えるモデルって印象がありましたね。もちろん、いまも現役で使っている人が多いわけですけど。

折本:PX-5600のユーザーにとっては決定版といえるプリンターでしたね。

山田:カシオがデジタルカメラの可能性を探る中で、またひとつの定番を作った感じですね。超広角の21mm相当というのも、斬新でしたよね。もっとも彼らも、中国市場で自撮りがこれほど流行るとは思ってなかったでしょうね、正直なところ。

折本:ヒンジの造りが良かったです。日本での発売にこぎ着けるまで時間がかかりましたが。

山田:通常使いとしてはここで完成されてますよね。ある意味、エントリー一眼レフの基準を作ったカメラといもいいかもしれませんね。

山田:Xシリーズの元祖ですね。ハイブリッドビューファインダーはアリかなと思った。けどやっぱり、プアマンズライカのイメージが強くて。日本メーカーが作るならもっと細部の作りにこだわらないと、と思いましたね、正直なところ。もっと高くてもいいからいいものをと思った。でも、結果的にヒットしたし、ひとつの時代は作ったな。

折本:ファインダーにかける意気込みがすごかったし、画質も良かった。レトロ調の流行を作ったカメラだと思います。

折本:このマルチレコーディングという試みは面白かったのではないですか?エンジンが2つあったのかな。

山田:そう、画像処理エンジン2つあって部分読み出しもできる。静止画を撮りながら動画も撮れるとか、斬新なカメラでした。ただ、キラーコンテンツがなかったんすよね。

折本:3月11日に震災が起き、その日は15時頃に更新を止めて帰宅しました。翌週月曜日の3月14日から、カメラ関連の被災状況を記事にしました。いくつかの生産拠点が東北にあったので、そのあたりの状況を伝えています。

山田:この震災で後のD800やDfも影響を受けましたね。発売直後のX100もこれでラインが止まりました。何といってもシグマの会津工場が心配で、山木さんにメールしたなあ。

折本:とにかくこの時期、何をしたらいいかわからず悩んだけど、結局自分たちは被災状況などのニュースを書き続けることで役に立つしかないと思いました。

山田:この頃は自分が何できるか、って考えてたなあ。

折本:この頃、写真救済の話が良くありました。写真は大切なものだと強く思ったと同時に、銀塩プリントって強いんだな、とも思いましたね。

山田:やはり、水に濡れるという状況では、インクジェットだとなかなか難しいですよ。

折本:上下チルト式からフリーアングル式になったんですよね。液晶モニターも大きくなった。

山田:まさに、正常進化でしたね、このモデルは。

折本:ニコンダイレクトって、自社ブランドを使っての遊び心が楽しい。この商品はニコンダイレクトらしさの極地ですよね。

山田:本家から出ているのが偉いなあ。偽物が出回って、それから本家がきちんと製品化したんだよね。

山田:これも面白いですよね。プリント大変だけどね。これはこれでインクジェットの新しい可能性ですよね。純正紙で最高の性能という方向で開発されていましたけど、この手の個性派の用紙が普及したことで、作品の自由度は広がった。この漆喰を使ったフレスコジクレーが、その象徴ですよね。

折本:このチャリティー写真展は山田先生の主催ですね。

山田:震災から一週間ぐらいたって自分でも動けるようになり、何かやろうと考えて企画しました。場所についてヨドバシカメラに相談したら、INSTANCE(オープンしたばかりのギャラリー)を2週間空けてもらえることになりました。それから写真家と企業に声をかけました。

山田:結果、500万円を超える義援金が集まりましたね。プリントを売る人、プリントを買う人それぞれに、初めてという人が結構いらっしゃいましたね。みなさんに、たいへん、お世話になりました。

山田:これは凄かったね。この解像感はこれまでに体験したいことがないレベル。70万円出してもこの絵が欲しいって人がいても、納得でしたね。

折本:SD15より扱いやすくなりました?

山田:うん、全然違う。なによりも、クセの強いFoveonセンサーを、ユーザー側がなんとか使いこなせるところまで仕上げてきた感じがしました。

折本:SRの機能をいかしたアイテムですよね。

山田:そうそう、手ブレの機能ってこんな使い方もできるんだって感激したなあ。星を撮っている人には夢だったから、夢をかなえるペンタックスはいいなあ。

折本:究極の小ささを目指したフォルム。GF2よりさらに上面が丸く飛び出していたのが衝撃的でした。

山田:これこそ、ずっと14mm付きでしばらく、常用機として愛用してたなあ。このサイズ感を踏襲したのがGMで、それまでの高機能路線はGXの担当になったわけですね。

山田:150mmの大口径望遠レンズと考えても、すごくいいレンズ。ズーム以外のレンズは超高画質にして手ブレ補正を入れるとか、シグマはほんとうにアグレッシブなところがありますよね。

折本:ペンタックスからもミラーレス。「まさかこう来たか!」という意外な展開でした。

山田:ユニークな存在ですよね。初代のQはセンサーサイズが1/2.3型で小さかったけど、次の機種からはセンサーが大きくなり画質も良くなったんですよね。

折本:レンズはトイカメラ的なチープ路線ですが、実は結構まじめに作られているという。そこがペンタックスらしいですね。

山田:センサーが小さくて、レンズ交換ができるカメラって、ほかになかなかないんですよね。なので、超望遠撮影も容易。私は月面写真を撮るときに、シャッター内蔵のKマウントアダプターを併用して、このシリーズを使っています。

HOYAとリコー、ペンタックスブランドの譲渡について会見(2011年7月1日)

リコー代表取締役社長執行役員の近藤史朗氏(左)とHOYA代表執行役最高経営責任者の鈴木洋氏(右)

折本:リコーがHOYAからペンタックスのカメラ部門だけ買収。意外といえば意外だったけど、リコーもカメラ部門をどうするか悩んでいた。両方のブランドが維持されると聞いて、ほっとしたのを思い出します。

山田:HOYAは当初からカメラ部門の分離売却をほのめかしていましたよね。で、結局、カメラ部門はリコーと統合したわけで、結果的にはよかった。でも、この後、社名が二転三転するわけですよね。

山田:APSはセンサーサイズとして名前が残ったから、よかったかなー。私はAPSが世界ではじめて公開されたロンドンPMAの取材のとき、その撮影をすでにデジタルカメラでしていたんです。いま考えると、なんか象徴的な感じがしてるんですけど。

折本:そうですね。すでにデジタルの足音が聞こえていた時代に生まれた。当時、鳴り物入りで登場したのですが……

山田:高かったなー。今でも使いますよ。便利です。デジタルだと小絞りボケの問題があるので、できれば絞りたくないときがある。これがあれば自由に、必要な分だけ減光できるので、「画質を上げるためのND」という考え方もできますね。

山田:これが出たことでGXRを使い始めた人も多いでしょうね。

折本:はい、ここでかなり周りにユーザーが増えました。オールドレンズの細かい補正設定は、カスタマイズにうるさいリコーらしさにあふれています。

山田:これもひとつの時代を作りましたね。明るさの面でも、省電力の面でも、大きく貢献できるデバイスですよね。いまはジャパンディスプレイに継承されて、その後色んな製品に搭載されていますね。もう、デジタルカメラのスタンダードであり、なくてはならない存在になりましたね。

山田:これは時代を作ったカメラですね。これまでのミラーレスのイメージは、どうしてもエントリー寄りだった。そんななか、このサイズで24メガで撮れるんだ、って衝撃はありましたね。質感もよかったし、サイズも小さかった。操作部も3ダイアル式で、慣れると、ほんとうに使いやすかった。これは踏襲して欲しかったな。

折本:ZAの24mmも一緒に出たから、ソニーはEマウントに本気なんだなと思いました。反面、Aマウントの将来に軽く不安を感じましたけど(笑)

山田:ツァイスの24mmF1.8は、ほんとにいいレンズですよね。とくに、NEX-7の24メガの実力をきちんと引き出していた印象がありますね。

山田:これが出たことで、手ブレ補正以外はトランスルーセント機と同じことができてしまうわけで、「Aマウントはどこいくの?」っていう感じもしましたね。でも、当初、Eマウントレンズが少なかったから、やらざるを得なかった部分もあるんでしょうね。

山田:富士フイルムの3Dデジタルカメラは液晶モニターで見られる作りになっていて、こちらはテレビで見る3Dでしたね。富士フイルムは3Dプリントもあった。それぞれで想定するアウトプットの違いが出てますね。ただ、3Dって、やっぱり、普及はしませんでしたね……。難しいなぁ。

山田:フル画素で秒12コマの連写っていったら、一眼レフを超えてるんですよね。センサーがMOSになったけど画質も上がったし。取材用カメラとして、しばらく使ってましたね、高速連写はあまり使いませんでしたが。

山田:いわゆるIXYらしいサイズのボディに8倍ズームは、画期的だったと思います。息子と私の分と2台買いましたね。そうえいば、自分の我が子がカメラを欲しいと言ったとき何を渡すか、常に考えてるな。家内はいまでも、ガラケーでしか撮らないので。

山田:完成度がより高まって、Sシリーズがここで一世代変わってますよね。こうして見ると、Gシリーズを含めて、キヤノンはいわゆる高級コンパクトへの取り組みが早かったですよね。

折本:ついにニコンからミラーレスカメラが。その以前から、新聞報道やら何やらで騒がしかった記憶があります。

山田:嵐を呼ぶカメラですね。発表会の後、嵐で電車が止まって帰れなくなったという。やっぱり、ニコンは一眼レフの良し悪しを知ってて、一眼レフにできない世界を追求してましたね。ニコンは「ミラーレス」ではなく「アドバンスドカメラ」といっているわけですが、「確かに、これだよね」って感じましたね。像面位相差AFも入ったし。逆に、ここまで尖ったモデルを作って、普通のユーザーがついてこれるのか心配したほどです。

折本:もっとカジュアルなイメージでしたからね、ミラーレスは。

山田:LUMIX Phoneのスマートフォン版ですね。これ、画質もよくて、GUIも凝っていて、良くできてたと思いますよ。

折本:CM1への中間点ですよね。

山田:そうですね、まさにCM1のご先祖様ですね、直系の。

山田:これで最終の名前だと思ったんだけどな。

折本:まだ変わるんですよね。

山田:X100がノスタルジックすぎて、X10もその流れにありましたね。もちろん、高級コンパクトのひとつの形としてアリだなと思いましたが、まだライカの呪縛がある感じがしましたね。

山田:iPhoneをカメラとして使うって人が増えたんだよね。銀塩時代に「写ルンです」が出てきた時のような雰囲気があった。あの時も「普通の人はカメラじゃなくて写真が欲しいんだ」って言ったことがあって、それが今の時代にも繋がるんですよね。私は、ごく自然な流れだと思っています。

折本:ただ、あの時も一眼レフはなくなりませんでした。

山田:ええ。いい写真が撮りたいってことは皆に共通していて、そのアプローチが「普段使えるスマホ系」なのか、自分の意図をもっと詰め込めるような「デジタルカメラ」なのか、ですね。それらが同時に存在していて、同じ人が両方使っていい、というのがこの辺で明確になってきましたよね。今後のデジタルカメラもそういう方向で「本来、カメラってこうあるべきだよね」という考えがもっとクローズアップされる時代になってきますよね。

折本:東日本大震災に続いてまた災害。生産拠点の海外移転がここまで進んでいたのと同時に、実は早くも中国依存を脱していたのかと感心した覚えがあります。

山田:ソニーのNEX-7は、日本向けを最初に生産して下のフロアに置いてあったから、真っ先に水に浸かっちゃったんですよね。この洪水はカメラ業界への影響が大きくて、これで「海外生産」というものを改めて意識しましたね。

山田:キヤノンはプロ機を高速寄りのモデルに一本化したんですよね。いわゆる報道やスポーツ系のカメラとして。とはいえ、完成度の高さはピカイチですよね。で、この後にD800が出てくるんで、高画素の1Ds系をなくして「ほんとに良かったのかな?」って感じはあるよね。実は、今後のキヤノンの展開を期待しているんですが。

折本:2011年の機種ですけど、プロ向けとしてはまだ無敵の存在かも知れません。

山田:考え方としてはすごく新しい。画期的だと思うけど、この頃からスマートフォンのカメラ機能が普及して「全体にピントが合った写真の方がいいよね」っていう話が海外で強くなってきた。それと、デジタル処理でボケを作る技術が進化したのも、同時期にあったから、この先、この方式はどうなるのかなって思ったな。

日本カメラ博物館、「甦る ペンタックスカメラ博物館展」 〜ダゲレオタイプカメラなど展示(2011年10月26日)

左から「ダゲレオタイプカメラ」(1840年頃)、「オプチマ2層式幻灯機」(1887年頃)、「ソホ レフレックス トロピカル」(1909年頃)

折本:複雑なタイトル(笑)。益子にあったペンタックス博物館の展示物を日本カメラ博物館で展示するという話ですね。

山田:ペンタックスって歴史のあるメーカーだよね、と再確認させられる。昔は西麻布にあって、高校時代、プロラボの現像待ちで、何度もいってました。それにしても、カメラは日本が世界に誇る産業なんだから、他メーカーもきちんと作ればいいのに……。

山田:ポータブル赤道儀。こういう製品は以前にもあったけど、ここでコンパクトで高精度で、値段も下がったことで、普通の人も使えるスタイルとして登場したことは、ホントに画期的な出来事ですよね。

折本:カメラが軽くなったのもあるんでしょうね。

山田:これを使えば誰でも撮れるって感じになりましたよね。単3電池が2本で動くってのはすごいなー。デジタルになって、天体写真へのハードルは、かなり下がったと思いますよ。

山田:これは色も良かったし、HDMI入力機能が追加された。史上最小の3Dテレビ(笑)。富士フイルムの真面目さってここですよね。入り口から全部システムで見せようっていう強い意識がありましたね。真面目な会社だな。

山田:このあたりからネットショップで購入するケースが増えてきたこともあって、知らない間に、模造品を買ってしまうケースが出てきましたね。逆に、海外での模倣品の情報が入りやすくなったので、メーカーとしても対応しやすくなったというのもあると思いますが。

山田:写真を大量に撮るのが大前提のストレージっていうコンセプトがアリですよね。カメラメーカーも各社いろいろやったけど、結局、この製品が残った感じがしますね。でもまだ、PCから離れられないですね、デジタルカメラって。

山田:バッテリーの都合なんだけど、このタイミングで終了っていうのは寂しかったね。その後も海外では販売継続だったわけだし、どっちも名機だから。なにか方策はなかったんですかね?

山田:パンケーキズーム、画期的でしたよね。欲しかったのはこれだ!と思った。

折本:なぜいま電動ズームなのか、の答えがありましたよね。小さくできるとか、動画対応とか。

山田:そう電動ズームで、しかも、ボディー側のズームレバーでズーミングできるのもよかったなあ。マイクロフォーサーズは収差補正を含め、レンズを含めたシステムとして展開しているのがわかりましたね。よく考えられたシステムだと思いますよ。

オリンパス株式会社の取締役3名が正式辞任 〜“再生”に向けた「社長声明」を公開(2011年11月25日)

山田:ここでオリンパスの大波乱が表面化しますね。カメラ事業での話でなかったので、少し安心しましたけど。

折本:この時期、東証のニュースを毎日チェックしていました。

山田:これは初代の純正品より小さかったから、大ヒットしましたよね。これは名レンズだと思いますよ。いまでも頻繁に使っていますし。これでボディー内収差補正ができれば、いうことないんですけど。

折本:タムロンが参入したことで、Eマウントの普及がはっきりした感じがしました。

山田:このころは電動ズームの流れがありましたね。防塵防滴でもある。12mmからのズームは便利ですよね。ただ、50mm側でF6.3は、日中以外だと、なかなか厳しいときもありますが。

2012年:3600万画素のD800/D800Eが登場。1インチセンサーも実用化

山田:正直に言うと、想像を超えてはいなかった。EOS-1D Xの上を行くかと思ったら16メガだったのは、意外でしたね。「石橋をたたいて壊す」慎重なニコンらしい。この頃はD800の噂もあったから、そういう棲み分けかなと思いましたね。

山田:ここで大きいセンサーを積んで、PowerShot G系が次の世代に入った感じでしたね。マイクロフォーサーズより大きいことをアピールしていたのも、印象的。

折本:一般向けにはS系が主役になった感があります。

山田:ライカの匂いが強かったんだけど、ライカがミラーレスを作ったらこうなるのかな、って感じもした。独自センサーだし、一緒に出たレンズは単焦点3本っていうのが凄い。3本ともいいレンズですよね。単焦点しかないっていう、勇気のある発表でしたね。その意味でも、マニアックでしたね。でも、

折本:直接の後継機がいまだにないわけですけど、それもわからないでもない。この機種のインパクトを超えなければならないのは大変です。

山田:でも、正直、X-Pro1のイメージが当初強くって、本来の画質のよさが前面にでなかったのが、いまでも残念ですけどね。

折本:シグマ初のミラーレス用レンズです。

山田:正直、あまりにおとなしいスペックだったので、山木さんに聞いたら「最新の技術で普通のレンズを作ると、ここまでのものができるんだってものをみせたかった」っておっしゃってましたね。確かに使って見ると凄くいいし、この値段でいいの?というくらい、圧倒的なコストパフォーマンスでしたね。

山田:この12色っていうのは、すごいですね。キヤノンのA3機で高級モデルはしばらく間が空いてたから、世代が変わった感じがしますね。この母体は、2010年のCanon EXPOで出品されたものですね。

イーストマン・コダック、連邦倒産法第11章を申請(2012年1月19日)

2012 International CESのコダックブース。例年とほぼ同じ規模のブースを構えていた

山田:ひとつの時代が終わった感じがしましたね。

折本:ちょうどPMAを取材しいていたときに知らせを聞きました。この記事のためブースまで写真を撮りにいったのを思い出します。

山田:重要だけど、ちょっとマニアックだね。今に繋がる技術。ただここでいう積層型は、センサーと処理回路をワンチップにするって話なので、具体的に活きてるのはケータイ用だよね。ある意味、そちらの市場が急速に拡大したことを象徴しますよね。

山田:ここでマイクロフォーサーズの輪が広がった印象ですね。まだ、あまり製品が表に出てきていないけど。タムロンとトキナーの参加で、マイクロフォーサーズが市民権を得た感じはありますね。

山田:TX300Vは凄いカメラでしたね。防塵防滴機で、しかも、きれいなカメラでしたね。TransferJetもあるし、非接触充電だったんですよね。家に帰ってきたらカメラをある場所に置けば、何もしなくていい時代になるんだろうな、と思った。これまで充電だけはワイヤレスで解決できてなかったから。でも、そのあとUSB充電が出てきたら「これでもいいかな」って感じになって…。人って勝手だな(笑)

山田:ここで時代変わったな。とにかく、凄かった。

折本:3,600万画素のインパクトは凄かったですか?

山田:うん。それまでの画素数から1.5倍になるって、驚いた。冷静に見たらAPS-Cで2,400万画素があったからそのピッチでフルサイズなら5,000万画素を超える。比べると3,600万画素という数には、ニコンの画質重視の良心を感じた。

折本:D800「E」も出てます。

山田:ローパスの「効きをなくした」がポイントでしたね。これって、最初からそのつもりでは作ってなかったってことですよね。ここでみんなローパスフィルターの存在を意識しましたんですよね。僕も買うのはD800Eにしたけど、それは「怖いもの見たさ」みたいなとこもあったな。

折本:しかし、どちらもとても売れました。

山田:発売から数ヶ月待ちの状態がありましたものね。

山田:そもそもOMってブランドがどうなるの?という思いがずっとあった。PENが出たからOMもあるよね、って。防塵防滴をアピールしてたのも印象的でしたね。ここから5軸手ブレ補正になって、ほんとにブレないって印象がすごく強かったな。

山田:DP Merrillシリーズは今でも使いますよ。Quattroよりコンパクトだし。レンズを専用設計にするとこんなものができるんだ!って驚きがありましたね。Merrill世代のDPは。

山田:値段を下げて補填したって初めてですよね(笑)山木さん、漢だ!って。ほんとうにユーザーのことを考えてると思ったな。もちろん、生産努力の成果でこの価格を実現できたわけですけど、山木さんは「最初に購入してくれた人は、このモデルを評価してくれた人だから、大切にしなければいけない」って。この辺から、今のシグマファンがついてきた感じがしますね。

折本:プライベートでよく使っています。クセの強いカメラですが、欠点も含めて愛せるカメラって、なかなかないですからね。

山田:なぜこのタイミング?って思った。もっとも、これって思い出というより現状の愛機(笑)。D800には飛び道具的なところがあって、こちらはどちらかというと欠点を全部克服した完成度の高さが印象的。大げさにいうと、カメラの評価軸を一回リセットしたようなカメラかもしれないですね。スペックも大事だけど、本当の価値はほかにあるよ、っていうのを明確に見せられましたね。いいカメラです。

折本:オートポートレートフレーミングですか。

山田:そう、ここまで来たかって思った。高画素をこう活かすか、っていうのと、フレーミングの自動化。「こうすれば見栄えがいい」というのをカメラが判断するようになって、これを「大きなお世話」と思うか、「いい」と思うかは、意見が分かれると思いますが。ソニー、チャレンジ精神ありますよねー。

山田:レンズがセンサーに追いつかない、っていうのをみんなが言い出した頃ですよね。実際にはそうでもないと思うけど。

折本:結局、これもひとつのプロモーションになりましたよね。

山田:レンズに対する意識はこの辺で変わりはじめましたね。

山田:屈曲光学系のカメラでF2はすごいなって思いました。完成度も初代から高かったですよね。

折本:コンバージョンレンズもある。使っていて楽しかったですね。

折本:振り返ると発売は結構前なんですね。

山田:確かに……。これは、ライカでしか出せない(笑)。この辺りから、ライカは自分たちが何をやるべきかよく見えてた気がしますね。

折本:ライカで撮られた名作が多くはモノクロ。そういう面からも、モノクロしか撮れないライカにも、説得力を感じました。

折本:こういうやり方もあるなと思いましたね。画質も良かった。

山田:この後テレコンも出たし。現代の設計ならこんなにいいものできるんだ、って思いましたね。

折本:古くはコンバージョンレンズっていうと、画質に期待できないイメージがありましたからね。

折本:これは盛り上がりました。1インチセンサーのバランスの良さが光った製品です。

山田:現在の高級コンパクト機のスタンダードですよね。1インチセンサーって、いろいろな可能性があると思っているのですが、このモデルは画質とコンパクトさを高い次元で融合させた感じがありましたね。しかも、ボディーも造りも、なかなかよかったし。

山田:まさに、正常進化ですね。これも買ったなぁ。いま使っても、静止画と普通に撮る分には、なんの不満もありませんね。これで十分っていう感じで。

折本:ニコンが高倍率ズーム競争の先頭に立ちました。これは衝撃的でしたね。

山田:このレンズもインパクトはありましたね。ついに!っていう感じで。まあ、レンズもそれなりに大きかったので、これ一本でというのとは、ちょっと違うかな?と思ったのも確かですけど。

山田:イメージセンサーの製造元って、みなさん、関心があるんですが、意外に公式にいわないんですよね。でも、マイクロフォーサーズというと、パナソニックセンサーというイメージが強かったので、ソニー製だったのは、ちょっと意外でしたね。

山田:いよいよ、キヤノンもミラーレスに参入!っていう期待感たっぷりだったんですよね。それで発表会で触ったときにAFの遅さに驚いて「これまで、ベータ版ですよね?」って聞いた覚えがあります。その後、ファームアップで早くはなりましたけど、実用レベルとはいえ、画期的な高速化ではなかった。でも、この夏、モデル末期になって、超手頃になったので購入し、いまも愛用しています。とくに、22mmF2は絶品なので、あのレンズのためだけに、EOS Mを使っているといっても過言ではありませんね。でも、造りもいいし、ホントに真面目なカメラですよね、これは。

山田:小型センサーを搭載したLXの最終形ですよね。24〜90mmで、しかも、F1.4ー2.3の超大口径ズームというのは凄い! 完成度は高かったけど、この時期は1インチ機が登場していたので、それに埋もれた感じですね。

山田:サムスンって、ずっと昔からズーム搭載の携帯電話を作っていて、このモデルは1/2.3型センサーとはいえ、21倍ズームですからね。凄いと思いますよ。GUIもカメラライクでもの凄く凝ってましたね、でも、商業的にはあまり成功していないんですよね。ちょっと不思議な感じもありますけど、やっぱり、スマートフォンのカメラ機能に求めているものって、この方向ではないんだなというのがわかりましたね。

山田:ここでセンサーが1/1.7型になったんですよね。しかも、画質が大幅に向上した。私はいまも、月面撮影はこのカメラをBORGに付けて使っています。RAWデータで撮って処理するんですけど、レンズ性能さえよければ、ビックリするほどの解像感が得られるんですよね。

折本:APS-Cセンサーのレンズ一体型かと思ったらフルサイズセンサー。恐ろしいものが出たと思いました。ソニーは何を考えているのかと。

山田:買いました!私は昔から「おとなのコンパクトカメラが欲しい!」って、ずっといっていたんですが、「作っちゃいました」っていわれて。これが本当に正しい姿かどうかという疑問はあると思いますが、銀塩育ちで、しかも35mm F2の単焦点レンズで育った私にとっては、究極の常用カメラっていう感じもしました。このモデル、レンズが凄くいいので、いまも、最高の35mmF2として使っています。EVFをつけないと、ピントが見えないのが難点なんですが。のちの、ローパスなしRX1Rよりも、丸みある描写をするんですよね。

山田:このモデルが登場して、もう「α900」後継は出てこないんだなぁというのが明確になったんですよね。もちろん、「α99」はよくできたモデルだと思いますけど。ソニーの考えるプロ機を具現化したモデルでしたね。ここで搭載された有機ELの高精細EVFには感動しましたね。まだ、未完成ではありましたけど、EVFの将来像をみた感じがしました。

折本:FXでもここまで小さくできるのか!と驚きました。ファインダー視野率も約100%。ファインダーが角窓なところ以外、文句のないFX入門機でしたが……。

山田:D800にインパクトが強すぎて、さほど時間が経っていなかったから、ちょっとあれ?って思った記憶がありますね。また、フルサイズ24メガの割には、高感度性能がもう一息だったのも、個人的には気になりましたね。まあ、その後のごたごたもありますけど……。

山田:伝説のっていう言葉がしっくりくるのが、タムロンの90mmマクロですよね。しかも、待望の光学手ブレ補正と超音波モーターも搭載してきた。とても、現代的な90mmマクロだなって思いましたね。

折本:フルサイズが徐々に浸透してきたナイスタイミングで発表された感がありました。

山田:最近、超お手頃価格で売ってますが、このモデルの写りはいいですよね。ただ、沈胴式でさすがにマニアックすぎた感じがします。X-Pro1やX100の流れからいうと、よくわかるんですが。でも、このモデルがでたことで、いい意味で、方向修正できた感じがしますね、Xシリーズは。それがいまに繋がるわけですけど。

折本:ニコンに続いてキヤノンからも小型フルサイズ機が発表されました。

山田:手頃な価格で、最新センサーで、最新DIGIC。まあ、それなりのコストダウンはあるわけですが、EOS 5D Mark IIIオーナーとしては、ちょっと悔しい感じがしましたね。私の場合、EOS 5D MarkIIIは風景がメインなので、実用機としては「6D」のほうがいいことも多くて。超高感度も強いし。正直、いい時代になったなぁ〜と思いましたね、このカメラを見て。ただ、趣味性とかを求めなければですが。

折本:ここからSTYLUSのブランド名が出てきます。最短撮影距離が短いのが良かったです。

山田:STYLUSブランドですね。もともと、オリンパスが海外向けに使っていたブランド名なんですよね。そして、長年続いてきたμブランドが消えることになるわけですよね。銀塩育ちとしてはμへの思い入れがあるので、複雑な心境でしたね。

折本:極端に薄い代わりにMFでかつ暗いレンズですが、このころは高感度もそれなりに強くなってきているので、結構面白く使っていました。

山田:これは凄くユニークで、軽量コンパクトなマイクロフォーサーズらしい展開でしたね。おまけっぽい感じだけど、結構、よく写るんですよね。うちで解像力とかMTF測ってみたけど、想像以上に優秀でしたね。

山田:現状、最後のPEN miniシリーズですね。タッチ操作になったわけで、これが本命だと思うんですよね。マイクロフォーサーズの場合、ラインナップで画質が大きく変わらないわけですから、ボディーはコンパクトな方がいいという人は多いと思うんですけどね。

折本:X-Pro1より小粒になりましたが、EVFになったことでズームレンズが使いやすくなるなど汎用性は高かった。

山田:X-E1、いいカメラですよね。このときに18-55mmズームが同時に登場したわけですけど、このモデルではじめて普通のユーザーがXシリーズの高画質さに気がついたんじゃないかと思うんですよ。画質的にいえば、現行機もこのモデルと同じわけですし。EVFもけっこう高画質ですしね。標準ズームも高画質ですしね。

折本:いよいよライカMです。35mmフルサイズセンサー搭載、ライブビュー対応と、新世代のデジタルライカになりました。

山田:ライカMは、ここで登場なんですね。M型の最終形はフルサイズ+ライブビューが実現したんですよね。実は個人的にM型ライカへの思い入れがやや薄めなのですが、実用機としては、これが本命だなっていう感じがしました。

折本:このクラスの高倍率化が止まりません。

山田:ついに50倍になりましたね。24mmからっていうところにこだわりを感じましたね。でも、不思議と、通過点という感じがしましたね。とくに、望遠側はトリミングや超解像ズームで実現できるところもあるのかな?

山田:私は、顔料系よりも、透明感のある染料系が好きなので、PRO-100がラインナップされたのが、とても印象的でしたね。顔料と染料の両方をラインナップするあたりは、プリント表現に可能性を広げる意味で、とても大きな意義があると思います。

山田」:EXILIM 10周年なんですね。このモデルはある意味で、EXILIMシリーズの集大成ですよね。ただ、レンズ交換式をやらないと宣言しているカシオは、この先、どこにゆくんだろう?というところもありますね、正直なところ。

折本:ニコンの全域F4シリーズも充実してきました。

山田:カメラが高感度に強くなったので、ボケ以外はF2.8系ズームの必要がなくなってきた。その意味で、F4系のズームレンズのほうが、バランスがよくて、価格手頃なので、実用的ですよね。しかも、描写性能も開放からいいので、大口径ズームの意味合いが変わってきましたよね。

折本:V1から一点、結局一眼レフっぽいスタイリングになったV2。「何だこりゃ?」という見た目でしたが、使ってみたらとても使いやすかった。

山田:V2で、ガラッと変わりましたよね。私はこのデザイン、結構好きなんですよね。とくに速写性を考えると、このスタイルのほうが正解だと思うんですが。とくに、ホワイトは斬新な感じがしますね。スマートフォトセレクターも進化してますしね。

折本:これまでのGHよりぐっと一眼レフっぽいスタイリングになりましたね。

山田:GH3で、本格派モデルっていう印象がとても強くなりましたね。動画性能も向上しているし。ただ、操作性がガラッと変わったのは、歴代使ってきたユーザーから見ると、けっこう辛かった。まあ、どこかで変えなきゃいけなかったんでしょうけどね。

折本:NEX-7とNEX-5系の中間でしょうか。中途半端に感じたのを覚えています。ただ、普通のデジタルカメラとして取っ付きやすい。

山田:NEX-7はそれなりに尖ったモデルしたからね。EVF一体型で、このサイズに納めてきたし、16メガなので、画質面では24メガ機よりも有利な部分もあったんですよね。個人的には、けっこう好きなボディーではあります。

折本:画質は正直良くないけど、使い勝手は抜群です。しばらく取材用メインレンズでした。

山田:APS用ズームで、しかも16mmからなのに、この薄さを実現したのは画期的でしたね。ただ、ホントにこれほどボディー内収差補正を前提にしたレンズも珍しいですよね。でも、それでいいんですよね、このクラスは。実はいまもα7Sにつけて持ち歩いていたりするんですが、APSクロップで。

山田:このレンズはいい。このクラスの中でもトップレベルですよね。このレンズのためにNEX系に移行した人がいてもおかしくないほどですね。レンズ単体では、ちょっと不格好ではありますが。

山田:ついにAPSの24メガ機が、このクラスに登場したのは、けっこう、衝撃的でしたね。このあたりは画像処理エンジンの進化が大きかったんですよね。

折本:全域F4の標準ズームレンズに、マクロモードが新しい。24-105mmとは違う価値を提示しています。画質もこちらが上でしょう。

山田:キヤノンもここで標準系LレンズにF4ラインを充実させてきましたね。24-105mmよりも遙かにコンパクト。しかも、寄れるので、小型軽量でフルサイズのEOS 6Dとの相性がよかったな。フルサイズで旅行や風景を気軽に楽しみたい人にというアナウンスも的確でしたね。

山田:正直、あれ?っと思った記憶がありますね。35mm F2にISを入れてきたのも、結構、意外でした。でも、いいレンズでしたね、やっぱり。22年ぶりというのも、うなずける。でも、いまでも初代を使ってますけどね、個人的には。

山田:ついに、シグマの超本気モデルの第一弾が登場した瞬間ですね。35mm F1.4っていうスペックもよかった。本気でカメラメーカーの純正レンズに勝負を挑んだ感じがして。それだけの実力があったし、凄いレンズですよね。ただ、巨大。レンズ性能を最終重視すると、こうなるって、自信を持っているから、このサイズ、この価格で勝負ができたんですね。シグマの本気を見た!っという感じですね。

(2013年〜2014年編に続きます)