2014
「ユニット」で考える建玉法[小次郎講師さん(4)]
今週は先週の続きで、[小次郎講師さん]についてです。
(あの有名セミナー講師が登場! [小次郎講師さん(1)]についてはコチラ!)
(「真の値幅」の「真の使い方」[小次郎講師さん(2)]についてはコチラ!)
(押し目・戻りの目安は「2ATR」[小次郎講師さん(3)]についてはコチラ!)
■損失が資金の2%で収まる取引量が「ユニット」
「繰り返しになりますが、トレードで大切なのは『仕掛け』(エントリー)ではなくリスク管理。タートルズが収益をあげたのも、資金管理やポジション管理による部分が非常に大きいんです。ポジションをどう増やすかというのも、大切なポイントのひとつ」
2回目で教えてくれた取引数量の決め方を思い出して欲しい。資金が100万円、ATRが80銭(0.8円)だったとしたら、適正な取引量は「2万円(資金の2%)÷1.6円(ATRの2倍)」で=1万2500通貨だ。
■「1/2ATR」の上昇ごとに「1ユニット」ずつ建て増す
「そうやって計算した取引数量を『ユニット』と呼びます。今の場合だと1万2500通貨が1ユニットになります。上昇トレンドが発生したときは最初に1ユニット買って、あとは『2分の1ATR』(ATRの半分の値幅)上昇するごとに、1ユニットずつ最大4ユニットまで買い増していくんです」
下記の表は先ほどと同じくATRが80銭だった場合。最初に買った位置から「2分の1ATR」、つまり40銭上昇するごとに1ユニット(1万2500通貨)ずつ買い増していく。最終的には4ユニット=5万通貨の買いになる。
「同時に買い増すごとに損切りの位置も『2分の1ATR』ずつ切り上げていき、以前のポジションのリスクを小さくしておきます」
■トレンドフォローに適した建玉法
「通常のピラミッディングでは、『最初に4枚、次に3枚、2枚、1枚』といったように、最初に多く買ってだんだんと減らしていくのが一般的ですが、それだと最初の仕掛けですぐに損切りされたときの損失が大きいデメリットがあります」
タートルズが行なっていたのは「20日ブレイクアウト」。過去20日間の高値を上抜けて「上昇トレンド発生だ」と思って買って行っても、反転してしまうことが多い。それなのに最初のエントリー枚数が多ければ、リスクリワード比は下がってしまう。勝率が低いトレンドフォローで稼ぐには、高いリスクリワード比が不可欠だ。
■ユニット数が増えるころには勝率も高まる
「ですから最初のエントリーは1ユニットだけにして、最初の仕掛けがストップロスにかかってしまったときのリスクを2%だけに抑える。一方で、トレンドの進展にあわせてポジションを増やしていくことでリターンを大きくする。3ユニット、4ユニットと買い増せるくらいに上昇するようなら、損切りにかかることも少なくなります。そうすると低勝率でも高いリスクリワード比が実現でき、トータルでは利益になりやすいんです」
もちろん3ユニット、4ユニットと保有量が増えれば、それだけリスクは高まるが、同時に損切りの位置も切り上げていくので、保有量の増加ほどリスクは高まらない。
このユニットの考え方には、さらなる利点もあるという。次回、聞いてみよう。
(「さまざまな市場を見るべき理由[小次郎講師さん(5)]についてはコチラ!)
<小次郎講師さん>
大学を中退し商品先物の外務員に。以降、営業よりもテクニカルの研究に注力する。インターネットの登場直後からチャットなどを通じて無料セミナーを開催。多くの生徒を集め、コモディティの世界でカリスマ的存在に。演劇への造詣も深く、演劇コラムニストとしての一面も。本名である「手塚宏二」の名義でも活躍する。