知っている人だけがトクをする医療費節約の裏ワザ。近頃、具合が悪いときに、近所の診療所ではなく、多くの人が入院しているような大病院に紹介状も持たずに行くと、なんと1万円以上かかることもあるというのはご存じですか?なぜそんな高額になるのか、今回は病院の使い方次第で医療費が節約できる裏ワザをご紹介!9月刊行の『読むだけで200万円節約できる!医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』から抜粋してお送りします。
紹介状なしで大病院にいきなり行くと
特別料金が加算される!
1ヵ月前から胃の不調を感じていたRさんは、大きな病院で診てもらったほうがいいと思い、隣町にある大学病院をはじめて受診しました。診断結果は軽い胃炎で大事はなかったのですが、会計時に1万円ほど請求されて驚きました。
「実は医療費とは別に5250円請求されたんです。医師の紹介状を持たずに大きな病院を受診した場合にかかる費用らしいんですが、そんなこと知らなかったので損してしまいました。診断も胃炎だったし、最初は近所の診療所に行けばよかったです。」
実は、大学病院など入院用のベッド数が200床以上ある大病院を、医師の紹介状なしではじめて受診すると、通常の医療費の他に選定療養費という特別料金を徴収してもよいことになっています。この特別料金は健康保険が適用されないので、当然ながら全額自己負担です。料金は病院によって差がありますが、厚生労働省の調べによると最低105円、最高8400円で、平均では1998円となっています。自治体病院では1000円程度、大学病院では3000~5000円程度を徴収しているケースが多いようです。
なぜ、大病院ではこうした特別料金がかかるのでしょうか。
日本では、受診する医療機関を患者が自由に選べるので、軽い症状でも大学病院などに行く患者もいて、それが病院で働く勤務医の過重労働の一因になっています。厚生労働省では、こうした状況を改善するために、大きな病院では手術や化学治療など高度な医療を担当し、町の診療所は慢性期や軽症の患者の治療を行うなど、医療機関の役割分担を明確にする政策を進めています。そのために、初診で大病院に行くより町の診療所や中小病院に行ったほうが医療費は安くなる仕組みにして患者を誘導しているのです。
こうした傾向は、今後ますます強くなります。2013年4月から、大学病院や入院用のベッド数が500床以上の大きな病院では、紹介状なしではじめて受診した患者の初診料、治療が終わって近隣の診療所や中小病院を紹介したのに通ってくる患者の再診料は、健康保険の適用範囲を狭めて特別料金を徴収するように変わりました(緊急性がある場合を除く)。こうした仕組みを知らずに初診で大きな病院に行くと、必要以上の医療費を払うことになってしまいます。
いざ病気になったときにどこの病院に行けばいいのか慌てないためにも、ふだんから信頼できるかかりつけの診療所を見つけておくようにしたいものです。