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ライフハッカー編集部ライフハッカー編集部  - ,,,  10:00 PM

フィクションが人生の役に立つ4つの理由

フィクションが人生の役に立つ4つの理由

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読書が脳にもたらす効果についての研究には、まだ不明瞭な部分もありますが、一部のメリットについてはかなりわかってきています。また、作家たちも長いこと、このテーマに向き合ってきているので、彼らの見解の一部についても合わせてご紹介します。


読書は共感力を高める


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近年、多数の研究によって、フィクションを読むことと共感する力の向上の関連が指摘されています。もう少し正確に言えば、神経科学分野の研究によって、架空の出来事の記述を読んだ時と、その出来事が実際に自分の身に起こった場合とで、脳の同じ部位が反応することが明らかにされたのです。学術雑誌『PLOS ONE』に掲載された最近の論文では、被験者がフィクションを読んだ時に脳のどの部分が反応するかを、機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)を使って特定しています。それによると、フィクションを読んだ時に反応する脳の部位は、同じ出来事を実際に体験した時に反応する部位と同じでした。心理学の研究でも、同様の結果が得られたものは複数あります。

科学ライターのAnnie Murphy Paul氏は、米『TIME』誌の記事でこれらの研究を次のように説明しています


認知科学、心理学、神経科学の最近の研究から、熟読は、単に言葉を読み取ることとは違う、際立った体験となることが示されています。ここでいう熟読とは、時間をかけて没頭し、感覚の詳細な描写や、感情や道徳の複雑さを十分に味わいながら読むことを指します。

こうした没入を可能にしているのは、詳細な描写や、暗示や隠喩がちりばめられた(文学の)言語を処理する際の脳のはたらきです。こうした際に、脳は頭の中にイメージを作り出しますが、その時使っている脳の部位は、同じ状況が現実の生活で起こった場合に活性化される部位と同じなのです。文学作品に描かれる感情の葛藤や道徳的ジレンマは、脳にとっては激しい「エクササイズ」のようなもので、私たちを架空の登場人物の内面に入り込ませてくれます。そのうえ、現実世界での共感力を高める効果もあると、研究結果は示しています。

ただし、注意すべきことがあります。この件について最近、大げさな見出し発言も見られましたが、読書による共感力の向上は、研究で証明されたわけではありません。米ブログメディア「Slate」でも指摘しているように、共感とフィクションを読むことの関連についての研究は、考えられている以上に難しいことなのです。たとえば、学術雑誌『Science』に掲載され、あちこちで引用されている、共感と読書に関する論文を見てみましょう。被験者の選択(ハーバード大学とミシガン大学の学生)も、実験に使った読み物の選択(文芸小説か、人文系以外の内容のノンフィクション)も、妥当であったかどうかは疑問が残ります。つまり、共感と読書の関連に関するこの科学研究には、なお大きな議論の余地があるのです。

とはいえ、「フィクションが共感力を高める」という考え方自体は、古くからあるものです。たとえば、多くの人がフィクションに触れることで、長い目で見れば、差別の解消など社会的価値観の変革につながる場合があるという研究もあります。フィクションを読むことで他者の生活の内情がわかり、彼らの考え方や行動原理への理解が深まるからです。米作家デヴィッド・フォスター・ウォレス(David Foster Wallace)氏は、雑誌『The Review of Contemporary Fiction』に掲載されたインタビューの中で、そのことを非常にうまく説明しています。


私たちは誰もがみな、現実世界の中でひとりで苦しんでいます。本当の共感など不可能です。けれども、フィクションを読む時に、想像の中で登場人物の痛みを(自分の痛みと)同一視できるのであれば、(現実世界で)他者に共鳴することも、もしかしたらもっと簡単にできるかもしれません。これは、(自分にとっても)意義深く有益なことです。内面の孤独を和らげられるわけですから。もしかしたら、そういう単純な話なのかもしれません。


少なくとも、フィクションを読むことで、他人の立場に身を置いて考える機会が得られるでしょう。その結果、共感力や包容力が高まり、新しい考え方に対してオープンになれるのなら良いですよね。


フィクションは、「変化は避けられない」と教えてくれる


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SFファンであれば、これまでSF作品に登場した数え切れないほどの架空のガジェットや概念が、近年になってリアルの世界で実現したのを目撃してきたことでしょう。SFは、未来への心の準備をさせてくれるし、あらゆる思考実験の舞台となります。作家アイリーン・ガン(Eileen Gunn)氏は、SFとファンタジーを専門とする米雑誌『Locus Magazine』のインタビューの中で、SFは私たちが変化を受け入れるのを助けてくれると語っています。


SF小説の役割とは、特に未来を舞台とした作品の場合、「万物は変化する、そして私たちはその中で生きていく」ということを、人々が理解できるようにサポートすることです。変化は私たちを取り巻いています。しかも、現在の変化のスピードはおそらく、400~500年前と比べて速くなっています。世界の一部の地域では特にそうです。ウィリアム・ギブスン(William Gibson)氏が何十年も前に言っているように、「未来はすでにここにある。ただ、平等に行き渡っていないだけ」なのです。

なお、この不平等さは、興味深い形をとっています。たとえば、世界の一部の地域では、変化はゆっくりとしたスピードで起きています。そこで暮らす人々は、生まれた時からほとんど変わらない生活をしています。けれども彼らは、今となってはお荷物となるような古い技術(電話線など)を持たないため、時おり、私たちを一気に追い抜いて行けるのです。


もちろん、変化を教えることは、何もSFだけの特権ではありません。ヤングアダルト小説も、常に変化を教えてきました。それ以外の一般的な物語でも、登場人物は次々と状況の変化するさまざまな出来事に直面します。彼らは、成功や失敗から教訓を得て、新たな状況に対応していきます。私たちはそうしたすべての内容を読んで、同じ場合に自分ならどうするかを考え、どう反応すべきかという基本の理解を、必ず手に入れることになるのです。

私たちは、頭では「変化は常に起こる」とわかっていますが、物語としてそれを語られたほうが、真実味をもって反応できます。単に事実を並べられただけでは、興味を失ってしまうでしょう。ストーリーとして聞かされることで、強く興味を持てるのです。スタンフォード大学でマーケティングを専門にするJennifer Aaker教授によれば、ストーリーとして伝えられた(英文記事)ことは、よく覚えていられる可能性があるそうです。ですから、読書を通じて無意識のうちに、あらゆる状況への備えが整っていくのです。


フィクションは好奇心を芽生えさせる


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これまで何度も述べてきたように、学習にとってもっとも重要な要素のひとつは好奇心です。この世界の何かについて強い興味を持っているなら、それについて追究し、できる限りすべてを知ろうとするでしょう。フィクションはそのきっかけを作るのにも有効だとわかりました。

神経科学者でもありブロガーでもあるDarya Pino博士は、新しい料理に挑戦したい人に対して、レシピ本を開く前に、何かフィクションに目を通すよう、勧めています。


ヘミングウェイの『日はまた昇る』をもう何度も読んでいますが、読み返すたびに、スペイン料理のさまざまなタパスや赤ワインへの憧れが1カ月近く頭を離れません(私が断然スペイン料理を気に入っているのは、実はそのためです)。『The Last Chinese Chef』という小説を読んだ時は、それまで中華料理は口に合わないと思っていたのに、最高のギョーザとペキンダックを求めて、中華街の薄暗い路地裏をさまよっていました。


学術誌『Creativity Research Journal』に掲載された論文も、この考え方を裏づけています。文学に接することで、人々は新しい概念に心を開く傾向があるのだそうです。文学は、それまで知らなかった物事に親しみを与えてくれるので、その結果、新しいことへの好奇心が高まるのです。


読書をすれば話し上手になれる


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私たちは誰でもストーリーを話すのが好きで、無自覚のうちにそうしているものです。私たちは世の中の仕組みを学ぶのにストーリーを利用するし、もっとありがちなケースとしては、目にしている世界を理解するためにもストーリーを利用しています。フィクションをたくさん読むと、それをうまく実践するための語彙が増えます。米誌『The Atlantic』は、この考え方を次のようにまとめています。


ストーリーは、人間が世界を制御しうると感じる手段になりえます。またストーリーは、無秩序(つまりランダムさ)の中にパターンを見いだす助けにもなります。人間は、何もないところにストーリーを見いだそうとする傾向があります。そうすることで私たちの人生に意義が与えられるからです。これは、「実存の問題」を解決するひとつの形態と言えるのです。

1944年にマサチューセッツ州の名門校スミス・カレッジでフリッツ・ハイダーとマリアンヌ・ジンメルが行った実験では、34人の学生に短編映画を見せました。その映画では、1つの長方形がスクリーンの片側にほぼ固定されており、大小2つの三角形と1つの円がスクリーン上を動き回っていました。何を見たか尋ねたところ、34人中33人の学生が、これらの図形を擬人化して、同じようなストーリーを作り上げたのです。円は「当惑して」いる、「小さな三角形」は「無垢な若者」である、「大きな三角形」は「怒りと不満でわれを忘れている」といったように。スクリーンの上に見たものは図形だけだと答えた学生は、わずか1人だけでした。


ストーリーを多く読めば読むほど、自分のストーリーをうまく語れるようになります。ストーリーを語る時は、世の中のノイズにうまくフィルターをかけて、自分の視点から理解し直すことが必要になりますが、おそらくその能力も向上しているはずです。ストーリーに多少強引な部分があったとしても、自分のストーリーをうまく語れる人の場合、それだけ説得力が増し、聞き手に関心を持ってもらえます。ストーリーを話すのは人間にとって自然なことですが、誰もが生まれつき上手なわけではないのです。

フィクションを読むことで、科学が要求するような具体的な利益を常に得られるわけではありません。けれども読書とは元来、私たちを新しい世界や概念や人々に触れさせるものです。少なくともこの効能によって、私たちは視野が広がるはずですし、その結果、世渡りも上手になっていくでしょう。


Thorin Klosowski(原文/訳:風見隆、江藤千夏/ガリレオ)
Photo by Pogonici, John Morgan, unten44, Geraint Rowland, Nick Piggott.

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