離島の冬、特に12月から翌2月にかけては
天候が不安定で漁にも出られないことが多いそうです。
一斉 TNR の手術日が12月13、14日に決まった時から、
お天気のことは心配されていました。
12月に入ってからは仕事が手につかなくなるくらい・・・
お天気の心配ばかりしていた気がします。

猫友・O さんとわたしは自称 “晴れ女” です。
(大事な取材やロケで雨に降られたことはありません!)
それでも、11月の後半になってからは、
手術前の猫さんたちに栄養をつけてもらうための馬島通いで
何度か “欠航” を経験しています。
12月11日、『にゃんだーガード』のボラ大先輩、
敬愛するまにゃお姉さんが福岡入りしてからは
さらに “晴れ女” が増えたと強がってもいましたが・・・
捕獲を行った12月12日の時点で、
漁船のチャーター便は出せないことが決まってしまいました。
定期船より漁船のほうが小さく危険なのです。

あとは定期船の運行に賭けるしかありませんが、
それさえ危ぶまれる悪天候です。
島民の方々も大変ご心配くださり、
万が一の時には集会所に宿泊することをご提案いただきました。
このことを『どうぶつ基金』の理事長先生にご相談すると
緊急措置として13日から泊まりがけの手術を行うことや
15日を手術予備日とすることなど
“臨機応変” にご対応いただけることをご決断くださり、
感謝のあまり涙が出そうでした。

翌朝、“運命の” 定期船は運行!
しかし船長さんから復路の便は欠航するかもしれないと
クギを刺されての出発です。
宿泊設備のない馬島の集会所に泊まり込み覚悟・・・
山口先生は電気毛布持参で乗船されました。
ボランティアのみんなも泊まり込み覚悟・・・
どうしても泊まれない数名を残して乗船、出発しました。
(多くのマスコミの皆様も同行されました。)

山口先生、後藤先生の手術の手技は、
世界的にも注目され、高く評価されているそうです。
無料またはボランティア価格で年間6000頭もの手術をこなし
環境大臣に表彰されたこともあるスーパードクターの手術を
間近に拝見できたことは大変貴重な経験です。

オス猫は2〜3分、メス猫は5〜10分ほどでしょうか。
メス猫の傷口は1〜1.5センチくらい?
見事としか言いようがありません。

帰りの終便が来るまでに45頭の手術が終わっていました。
しかも、心配された欠航もなく帰りの便が!
集会所に泊まることなく全員が帰路に着きました。

手術2日目となる12月14日も定期船は運行!
この日は子猫を含む34頭の手術を無事に終えました。
今回さらに先進の技術により、
幼齢猫(42〜98日齢)の不妊・去勢手術も行われました。
子猫のほうが麻酔などの薬剤が少なくて済み、
手術に対する耐性も高く
これまで事故は一例もないそうです。
馬島の成猫さんも幼齢猫さんも
無事みんな麻酔から目覚めて元気にしています。
先生方のおっしゃる通り、
代謝が活発な子猫さんの回復は驚くほど早いです。
『どうぶつ基金』さんの Facebook で子猫の写真を見て
クレームを言ってきた方があるようですが・・・
世界有数の手技と膨大な実績を有する山口武雄先生の
ご判断・ご執刀です。
それでもご心配なら現場を見に来られたらいい、
と思います。

15日は、2日目に手術した猫さんたちをリリースして
みんなで集会所をピカピカにお掃除しました。
荷物の積み出しは漁船をチャーターしていただきました。
心配されたお天気から一転してポカポカ陽気・・・
外でケージを洗う水仕事も全然つらくありませんでした。

12日夕方の時点で “絶望的” だと言われたお天気が持ち直し、
13日往路の定期船が無事に運行したばかりか
復路も欠航することなく・・・14日の手術も無事に叶い・・・
15日の後片付けが終わるまで “爆弾低気圧” が待っていてくれたことは
もう、 “奇跡” としか思えません。
きっとこれまで先生方が助けて来られた動物たちの神様が、
味方してくれたのだと信じます。

馬島に集まった仲間たちの “想い” や “がんばり” に、
猫の神様が応えて、
守ってくださったのだと信じます。

後片付けをして小倉の渡船所から最後の荷物を送り出し、
最後までお手伝いくださった5人の皆さんと
夕闇の海に向かって「バンザイ」した時は感無量でした。
ご尽力いただいた、たくさんの人たち・・・
恐い思いをしながらがんばってくれた馬島の猫さんたち・・・
目に見えない色んなものに感謝しました。

亡き愛猫ピン、ジュリちゃん、ラブちゃん・・・
「ママがんばりましたよ〜」って、
夜空に向かって叫びたい気持ちでした。