巨人を世界発信!…久保球団社長インタビュー
巨人の久保博球団社長(65)が30日、スポーツ報知の独占インタビューに応じた。今年6月に就任したばかりの新社長は、来季への課題として「ジャイアンツブランド」の再創造や、ジャイアンツ球場の活性化、リーグビジネスの必要性などを強調。巨人が今後、よりリーダーシップを取り、日本球界を盛り上げていく意気込みを示した。(取材、構成・水井 基博)
―球団社長に就任して最初のシーズンが終わった。率直な感想は?
「球団は今年80周年を迎え、チームはリーグ3連覇を達成した。来年からは100周年に向けた新しいスタートを切ることになる。今後の一番の課題は、ジャイアンツブランドをどうやって作っていくかにあると思う」
―ジャイアンツブランドとは?
「経営の資産はたくさんある。戦前の沢村、スタルヒンや、王、長嶋という偉大なスター。V9や過去の数々の試合とかプレー、国民の心に残っているものは、どこにも負けない量に上る。過去の無形の資産を、どうやってブランドにしていくかが重要だ。そして、ファンが求めている夢を作っていきたい」
2軍の活性化 ―2軍を改革する話を聞いたが。
「2軍の活性化プロジェクトに取り組んでいきたい。2軍は将来のジャイアンツを背負う選手が確実にいる。まずはジャイアンツ球場を、週末は満員にしたい。ファームを強化していくためには、100人の観客の中でプレーするより、2000人の中でプレーした方が張り合いもある。担当者で知恵を出し合っていこうと思っている」
―ドラフト1位で岡本和真内野手が入団した。G球場の目玉になる可能性もある。
「彼はキャンプからスタートして、新しい物語を作っていくことになる。球団として、どうやって彼を育てていくか、情報を外に出していくかが大事になる」
―来年からユニホームは「アンダーアーマー」製になる。
「アンダーアーマーは1996年にアメリカで創業し、20年足らずで急成長してきた。そのブランドを日本で展開するドーム社も若い会社で国内スポーツ市場が縮小する中で急拡大してきたね。一方の巨人軍は80周年を迎えた日本で最も歴史のあるプロスポーツチーム。『新と旧』のコンビネーションで、スポーツビジネス界で新しい可能性を切り開いていきたいね」
―ビジターに「TOKYO」の胸文字が復活した。
「世界都市である『TOKYO』を胸にして、『世界の巨人軍』を発信していくのが狙い。来年、ヤクルトとはまさに東京ダービーになる。今検討している段階だが、来年の東京ドームの試合で1試合だけ、そのビジター用ユニホームを着て試合をするプランを考えている」
―久保社長は、リーグビジネスにも興味を示しているとか。
「セ・リーグ6球団が賛同して共同化できる商品が企画できるなら、グッズの市場拡大という面ではすごく面白いよね。例えば、銀行の通帳に人気キャラクターを使ってるよね。あれを『セ・リーグの球団を選べます』とかになったら人気が出ると思う」
―最後に、どのような2015年になる?
「巨人軍は幸いにも、優秀なスタッフがたくさんいる。私がしっかり『18番ホールはこっちですよ』とゴールを示すことが大事。フロントの戦略強化、チームのサポート体制、スカウティング、技術的な新しい指導法、野球の普及と振興とかの面でも、日本球界をリードしていきたい」
◆久保 博(くぼ・ひろし)1949年9月7日、宮城県生まれ。65歳。東北大学文学部を卒業後、75年4月に読売新聞に入社。経済部、地方部、スポーツ事業部などを経て、12年6月からは常務取締役事業局長、今年6月に、巨人の球団社長に就任。事業局時代はWBC、日米野球などのイベントも手がけた。