射命丸文が護廷十三隊入り (スターリン)
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第参章 「一番隊《文視点》」

さてはて、昨日なんとか九番隊の方たちと宴会開いて仲良くなれましたし、第1目標は達成ですね。
では、そろそろ本来の任務に取り掛かろうとしましょうかね。
一応の確認ですが、私と椛が尸魂界(ここ)に来た本当の目的は、幻想郷に『(ホロウ)』が大量発生しているっていう異変を解決するための情報を集めるため。有益な情報集めまくって、『うぜぇ丸』だとか『捏造新聞記者』とか、そんな酷い私の評価を改めさせるのですよ!

「さぁ、起きてください、椛!」
「ぎにゃっ!?」

私の隣でグースカ寝ている椛の尻尾を引っ張って無理矢理起こす。なんですか今の猫みたいな叫び声。あーた狼でしょう?
椛は尻尾を擦りながら、ちょっと涙目で可愛く私に睨み付けてきた。

「痛ったたた……酷いです、文様」
「もう9時だっていうのにいつまでも寝ていたからでしょう?」

最も、私も今さっき起きたばかりなのですがね。無視です。
どうやら久しぶりの昼から朝までの呑み会で酔って、ちょっと寝すぎてしまったようですね。ささっ、なるたけ早く情報くれって八雲紫も言っていましたし、今日から仕事しますよ。

「椛、仕事ですよ仕事。聞き込み調査です」


――――・――――・――――・――――


「……で。今日はどちらに行くんですか、文様?」

顔を洗って眠気を消し、九番隊隊舎の廊下を歩きながら椛は私に問いかけてくる。そういえば行先、決めていませんでしたね。そうですねぇ……。

「順番に行こうと思います」

バラバラに行くと、どこに行ったのかが解らなくなってしまうかもしれませんしね。一応、記憶力は高いほうだと自負していますし、頼れる相棒である椛だっていますから大丈夫だと思いますが、万が一のことも考えてこの方式で行きましょう。え? 自分の隊の九番隊からでいいじゃんって? いえ、それがですね……。
実は九番隊の皆さん、昨日の宴会で呑み過ぎて全員2日酔いになってしまわれたんですよ。ですから、まともに会話できなさそうですし、今日は眠らせてあげようと。同じように、乱入してきた京楽隊長も十番隊の松本乱菊副隊長も酔い潰れて、それぞれ八番隊の伊勢副隊長と、十番隊の日番谷隊長がやれやれといった表情で運んでいました。なんというか、申し訳ございませんでした。今度会ったらきちんと謝っておきましょう。
と、いうわけですね。
九番隊は放置。1から13まで、順番通りに行くことします。

「じゃあ今日の最初は一番隊ですね。でも、いきなり乗り込んで大丈夫でしょうか? 山本総隊長ですよ?」
「うーん、平気だと思いますけど……」

取材、と言えば多分きっちり応じてくれるはずです。
奇しくも、私が在籍している九番隊は情報週刊誌を発行している隊ですし、そして私はその隊長ですし、山本総隊長とお話くらいはいくらでも出来る……と、思います。

「ま、その時はその時。今はいつも通り、振舞うのみです」

最後の手段として、私の卍解を使えば一発ですし。

「じゃあ行きますよ、椛」
「はい、お供しますよ、文様」

こうして、私たちは一番隊隊舎に向かった。


――――・――――・――――・――――


「総隊長、射命丸九番隊隊長と犬走三席がお見えになりました」

5分後、一番隊隊舎執務室の前で。
一番隊隊舎に着いて、偶然散歩していた雀部(ささきべ)長次郎(ちょうじろう)忠息(ただおき)副隊長と出くわして交渉。
最初はこっちの真意を探っていたようだけど、洋風物を取り上げている雑誌を差しだすと一気に上機嫌になってGOサイン。昨日の宴会で隊長・副隊長たちの大雑把な情報を仕入れておいてよかった。やっぱり世の中、情報化社会ですよね。

「うむ、入れい」

部屋の中から山本総隊長の許しの声が聞こえ、扉が開く。

「「失礼します」」

中に入った私と椛は、デスクに腰掛けている山本総隊長に一礼。雀部副隊長はそれを見届けたのち、軽く一礼して部屋の外から扉を閉めた。ドンと、少し大きな音が響く。

「なに用じゃ?」

眼を細めて聞いてくる山本総隊長。やっぱりこわいですねぇ、あのお爺ちゃん。まだ私たちのことを警戒しているのでしょうか?
ま、今はそんなの無視ですね。萎縮しているばっかじゃ前に進めませんし。私は袴の中から手帳とペンを取り出す。ほら椛、あんたも震えていないでメモ帳出しなさいな。

「少しばかり、取材をしにきました。お時間いただけますか?」
「取材? なにが聞きたいのじゃ?」

よし、応じてくれました。

「まぁ、まずなのですが……」

さて、いきなりですが核心を突きましょうか。インタビューをスムーズに進めるために。


「――同時に裏切った3人の隊長について、お聞かせ願いませんか?」


なぜ、死神組織の上層部である護廷十三隊の13人の隊長のうち3人も同時に裏切ったのか。

「同時に裏切ったということは、その3人の隊長が直前に怪しい行動をしていた何度もしていた筈。なにか企んでいると、確信にも至らずとも予測はできていた筈です。それなのにまんまと一本取られて裏切り、逃亡に成功してしまったと言うじゃありませんか。どうしてその3人の隊長に対し、警戒が甘かったのでしょうか?」

私はその場面に遭遇していませんし、裏切った3人の隊長の情報も全くありません。ですからこうして、順序立てて聞く必要があります。
山本総隊長は少し渋い顔で語り始めました。

「うむ……その通りじゃ。儂らはその3人の隊長に対し、警戒が甘かった。いや……全くの無警戒じゃった」

全くの無警戒?

「なぜ、無警戒だったのでしょうか?」
「裏切った3人の死神……そのうちの1人の斬魄刀の能力に嵌められたのじゃ」

その斬魄刀の名は『鏡花水月』と言って、始解する瞬間を見た者達に催眠を掛けることが出来るらしいです。……なるほど。それを見せられて催眠状態に入ってしまい、錯覚させられてしまったということですか。
斬魄刀の特性なんて、使っている本人にしか正確に知ることはできませんし、始解なんて実戦の中や隊長資格の試験の時に見たりしますから防ぎようもないですしね。

「なるほど。それでは次の質問を。彼らの目的は?」

なぜ偉い地位に立っていたにも関わらず、裏切る必要があったのか。それなりの理由があった筈です。復讐? 野望? 完全なる破滅? もしくは、誰かの指示?

「それは、残念だがまだはっきりしとらん。ただ、奴はこう言っておった」

――私が、天に立つ。

そう言って、姿を消したらしいです。どういう意味でしょうか?
それだけではよく解りませんね。たしか、ここにも図書館なるものがあった筈です。文献を片っ端から読み返して、調べてみましょうか? 骨が折れそうですねぇ……。

「最後の質問です」

3つ目の質問。
これ以上は時間を取ってしまいますし、色々な隊から情報は仕入れられます。少しずつ集めて、後はこちらから自分で探りを入れるしかありません。

「裏切った、3人の隊長の名前を教えてください」
「……三番隊隊長、市丸(いちまる)ギン。九番隊隊長、東仙(とうせん)(かなめ)。そして……」

山本総隊長は一度目を瞑り、そして少し怒りを孕んだ瞳を開いた。


「今回の事件の首謀者である五番隊隊長、藍染(あいぜん)惣右介(そうすけ)じゃ」


『藍染惣右介』。
私は、幻想郷の異変の発起人と思われる人物の名をしっかりとメモをした。




     ――To be continued…



……リアルが忙しくてかなり鈍行な上に文字数ががが……

こっちは本当にこんな感じの短いお話をトントンと書いていく感じになりそうですね。
あー……平均5000字は頑張ろうと思いましたが、ダメっぽいです。申し訳ございません。

さて、次回は山本総隊長の視点でお送りします。

ご愛読、ありがとうございました。


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