射命丸文が護廷十三隊入り (スターリン)
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はい、こんにちは。スターリンです。

今回からこの物語も書いていこうと思います。
遊戯王のほうをメインとしているため、こちらのほうが投稿スピードが遅くなります。

それでは、本篇をお楽しみください。



第零章 「新隊長 射命丸文」

「幻想郷は全てを受け入れる」。

それはなんて残酷な話なのだろうか。

「全てを受け入れる」というのは、聞くだけならば良い言葉に聞こえる。

しかし、「全てを受け入れる」ということは、逆に言えば「拒絶できない」という意味だ。

「拒絶できない」のなら、「全てを受け入れて」従うしかない。

ならば、なぜ「拒絶できない」?

「全てを受け入れる」のだから、自分の反対も「受け入れられる」はずだ。

しかし、それはあくまでも「力を持った強者」ならばの話だ。

弱者は強者の言うことを聞くしかない。

反抗した瞬間殺されるのだから。

横暴? 我儘? 自己中心? そんな甘い言葉はない。

なぜなら、「幻想郷は全てを受け入れる(・・・・・・・・)」からだ。

「どんなルールにも縛られない」という縛りさえも、「全て受け入れる」。

嗚呼(ああ)、それはなんて残酷な話なのだろうか。

………………

…………

……

尸魂界(ソウル・ソサエティ)
そこは、俗に言う「あの世」と呼ばれる場所。
死者の魂が訪れる土地であり、また、その死者の魂を管理する「死神」と呼ばれる者や、「霊力」と呼ばれる力を持った「貴族」たちが住む土地でもある。
死神や貴族たちが住む場所を『瀞霊廷(せいれいてい)』、死者の魂が住む場所を『流魂街(るこんがい)』と呼ばれ、瀞霊廷には、『中央四十六室(ちゅうおうしじゅうろくしつ)』『護廷十三隊(ごていじゅうさんたい)』『鬼道衆(きどうしゅう)』『隠密機動隊(おんみつきどうたい)』などの実戦部隊が置かれている。
その中の『護廷十三隊』。
これは、尸魂界(ソウル・ソサエティ)の守護と現世に存在する死者の魂である『魂魄』、さらに『(ホロウ)』と呼ばれる所謂「悪霊」の退治を行う部隊であり、その名の通り『一番隊』から『十三番隊』までの13の部署が存在し、その部署それぞれに1人ずつ、計13人の隊長によって統括されている。

「これより、隊首会(たいしゅかい)を始める」

『一番隊』隊長であり護廷十三隊総隊長である老人、山本(やまもと)元柳斎(げんりゅうさい)重國(しげくに)が隊長全員によって行われる機密会議『隊首会』の実施を宣言した。
原則として、この『隊首会』には13隊全ての隊長、つまり13人が集まるはずであるが、事情(・・)があって『三番隊』『五番隊』『九番隊』の隊長だけが出席しておらず、10人しか今はいない。

「今日おぬしらをここに集めたのは、謀反を起こし空席となった3人分の隊長の席についてである。現在、三番・五番・九番においては隊長不在であり、護廷十三隊としてはこれをいつまでも放置しておくにもいかぬ状況である」

そう。
出席していない3つの隊の隊長たちは、この尸魂界(ソウル・ソサエティ)に反旗を翻して消えたのだ。だから実際のところ、その3つの隊の隊長は不在である。

「よって昨日、この本隊責任者を召喚し、この山本、並びに2名の隊長が主席の元、隊長資格の有無を見聞、申し分なしと決した。よってここに、東仙要前隊長に変わり、諸君に新隊長を引き合わせる所存である」

隊長たちはその言葉を聞いて、全員涼しそうな顔をしているがそれぞれ、どのような者が隊長なのか興味を持っていた。


「護廷十三隊九番隊新隊長――射命丸(しゃめいまる)(あや)、中へ」


総隊長が大きく呼びかけるとこの部屋の巨大な扉が開き、その扉の奥から1つの人影が部屋に入ってきた。
入ってきた人影の正体は少女だった。
黒いショートヘアの髪の毛は少しうるさい程度に量が多く、茶色がかった赤い瞳には活発そうな光が灯っており、頭には赤い山伏風のような帽子をちょこんと乗せ、首からカメラをぶら下げている。足には足袋ではなくまるで天狗のような、踵が少し長い赤い下駄を履いている。
背中に『九』の数字が書かれた袖無しの白い隊長羽織を身につけていることから、この少女が新しい九番隊隊長だということはこの場に居る隊長全員が理解できる……が。

「これは……かなり可愛子ちゃんだねぇ」

八番隊隊長の京楽(きょうらく)春水(しゅんすい)が、場を和ませるためにわざと顔を緩めるが残念ながら効果はない。

――誰だこいつは?

総隊長の元柳斎と四番隊隊長の卯ノ花(うのはな)(れつ)、十番隊隊長の日番谷(ひつがや)冬獅郎(とうしろう)以外の、この場にいる全ての隊長が思った疑問は、まさにそれだった。
「射命丸文」。
そんな名前の死神は今まで一度の聞いたことがないからだ。
得体のしれない新隊長の出現に対する隊長たちの緊張は、尸魂界(ソウル・ソサエティ)を護る者の頂点の位置に居る者として当然の物だった。
新隊長――射命丸文は丁度、十二番隊隊長の(くろつち)マユリと十三番隊隊長の浮竹(うきたけ)十四郎(じゅうしろう)がいる所の一歩手前まで来て立ち止まり、少し戸惑ったような顔になるがすぐに一転、年頃の女子高生のような笑顔を浮かべ、元気に挨拶をした。


「はっじめまして、護廷十三隊の隊長の皆さん! 私は射命丸文! 今日から、九番隊隊長を務めさせていただく者です! よろしくお願いします!」




     ――To be continued…


……はい、いかがでしたか?

初回のうえ、プロローグだけのためものすごく短くなってしまいましたが、次回からはなるべく5000字を超えるように書こうとおります。

それでは、今回はここまで。
ご愛読ありがとうございました。


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