豊田市消防本部・中消防署 救助工作車Ⅲ型
（2013年 モリタ/坪井特殊車体）
昨年配備された、豊田市消防のバス型救工です。ウォークスルー構造ではなく、資機材庫とは分離していますので、キャブバス型というタイプになります。
個人的にはバス型だと、たまにずんぐり感を覚えてしまうのですが、この車両はモリタ標準のハイルーフから綺麗にラインを繋いでデザインされているようで、非常にまとまったカタチに見えます。
クレーンはボディやアオリで覆い隠さない露出タイプ。これが覆い隠されていたら・・・・・・印象が違っていたかなーなんて思います。
横から。
結構いいカタチではないかと・・・・・・皆さんいかがでしょう？
もっとも、この車両を艤装したのはモリタだけではなく、実際のボディ部の製作は坪井が行ったこそからかなとも思います。モリタやテイセンからの仕事も担っている坪井は、全国で活躍しているあらゆるバス型車両を製作するプロフェッショナル企業。その迫力で記憶に新しいさいたま市の浦和救助や、関東初のバス型救工となった川越市の中央救助、ほか上尾市や岡山市など、さまざまな超有名車両が坪井によってつくられています。
後面に貼られた坪井のステッカーを見るまでは、失礼ながら「これ本当にモリタかぁ？」なんて思っていました。ルーフ以外に全くモリタ感がなかったんで・・・・・・モリタであれば、まず分かりやすい点として、リアのホイールアーチがカクカクになるはず。この絶妙なアーチは坪井特有のもので
・・・・・・そこらへんはどうでもいいですかね。余計なこと語るなですねｗ
でも、こういうところに消防車メーカーのモノづくりのこだわりを感じるんですよねー。
さてカタチはおいといて、目を引くのはやはりカラーリング。蛍光朱色に黒帯という組み合わせはまだ少なく、斬新であるとともに、シャープな印象を受けました。同業者さんからは、シャッターが素地の銀色な点が微妙・・・・・・という声も複数聞きましたが、僕はそれほど悪くないかなぁ？と思います。単に僕がシャッターまで蛍光朱色に塗った姿を想像できない頭の弱い子なのかもしれませんが。笑
リアビュー。クレーン基部の化粧板（って言っていいんでしょうか？ナンバープレートがある板状のものです）まで黒帯が伸びていてほしかった！※個人の意見です
ルーフへのアクセスは、左テールランプ脇にある正方形状のステップからバンパー上に昇り、ルーフ付近へとのびる昇降用はしごを使います。そのため、化粧板には左側のみ手すりがついています。
アウトリガーは・・・・・・確か手動で引き出すタイプでしたっけねこれは。ジャッキのみ油圧で作動だったと思います。豊田市ではないですが、よその消防本部で救工を見学させていただいた時、「タダノは電動だけどユニック古河は手動なんだよね」という話を聞きました。全部が全部ではなく、型式にもよるかと思いますが、そこら辺どうなんでしょうか。
正面から。丸みを帯びたキャブ前半分のすぐ後ろからは断面形状が四角くなる、バス型特有の外観ですね。
SRTのロゴがいい感じです。日本語と英語を併記しているのが個人的には好きです。
バンパーは定番のエアダムエアロカット。前赤はそのエアダム部に穴をあけてビルトインされています。この位置に前赤があるのも好きなんですよね〜。車体そのものに金がかかっているのか、そういえばこの車両にはメッキパーツなどの飾り気が全くありません。ゴテゴテと派手な装飾が多い最近の車両としては、そういう意味ではおとなしい、人によっては物足りないと思うかもしれませんね。
キャブを横から。室内はあまり観察できませんでしたが、折り戸が開いたところから少しだけ見えました。後席部分はこの通り床の位置がかなり高く、ステップも1段1段の間隔が広いため、乗り降りは少し大変そうにみえました。にしても、床下機器ってこんな高さ必要でしたっけ？もっと床面は低くできたんじゃないかと思いますが、他もこんなもんでしたっけね・・・・・・うーん。
ただ、やはり車内の広さはピカイチ。車両製作時も、広さは重要なポイントになっていたそうです。
今更撮るパーツでもないですが、主警光灯。
シビリアンテールとリアバンパーの形状。少し斜めに絞りこまれ、その分テールランプは正面から逸れやや外側を向いています。
過去に見たシビリアンテール装着の救工でいうと、岡崎市のテイセン製がいますが、あれは2台とも真っ直ぐ向いていたんで、こう処理しないと法的に問題があるわけではないでしょうが・・・・・・坪井のこだわりでしょうか。
資機材庫ルーフ上や三連梯子と一緒に積載することが多く見られるバスケット式も含め、担架はキャブ直後の縦型収納庫にまとめてあります。
非公式側資機材庫はこのような感じ。各庫にはLED照明がついており、夜間の活動で大いに役立ちます。
スカートボックスの扉兼ステップには、側面に点滅式のオープンアピールを埋め込むのが流行りですが、この車両では従来と同じ反射テープで対応。削れるところは削っています。
タイヤハウス部は、開けると楕円形のフックが両端にあり、車両側面でロープを結策したりする活動時に備えています。
今まであまり注目していなかったポイントなんですが、ちょうど可動シーンを見れたのでご紹介。
三連梯子の昇降式格納装置です。車両後方に2本のステーが伸びています。これが何か気になって、隊員さんが実際に引き出すを見ていたところ・・・・・・
長いステーのほうは取っ手で、短いほうは、降りた先のバンパー部に設置された受けへとピッタリフィットするようになっていました。
横から見るとこんな感じに。たぶんダンパーがあると思うんで、展開時は重量にまかせて急激に降下してくることはないでしょうが、逆に戻す（格納）時は両腕を目いっぱい上にあげて持ち上げて・・・・・・大変そうですが、取っ手のステーをもう少し長くしてもダメなんでしょうかね。消防車造りって奥が深そうです。
豊田市消防・高度救助隊の活動服。援助隊として県外での活動を見越して「AICHI」の文字を入れています。
当時は1月だったので当然寒く、点検にあたる隊員さんは各々で用意したネックウォーマーや防火頭巾を身につけていました。日夜同じように点検や訓練の繰り返し、熱いも寒いも関係ない。仕事だからやって当然、ですが頭が下がります。
あとは点検シーンとか。
訪問当日は午前中に出初式があったようで、この資機材点検も、式後の洗車と兼ねて行われたものでした。
豊田市は撮影に関して車庫出しはNGのようですが、この時は車庫から出してのこの点検があることをわざわざ教えてくださり、1時間ほど市内をふらついてから再度訪問、お邪魔することとなりました。
中署は以前も立ち寄っていたものの不発だったため、非常に有りがたい機会に恵まれました。当日応対していただいた署の皆さま、ありがとうございました！
※掲載にあたり、本部の要請により画像を一部修正しています。