【トップに聞く】経営統合から3年で黒字化 TSIホールディングス三宅正彦
■国内市場は限界に来ている
ー海外ブランドでは「ケイト・スペード」を2012年に売却。「レベッカ・ミンコフ」はライセンスを廃止して輸入販売のみに切り替えます
日本はブランディングの考え方が海外とは異なり、とかくラグジュアリーブランドを育てていくことについては弱いかもしれません。しかし市場は二極化していますので、海外ブランドも含めて新しいラグジュアリーを育てていくことは、可能性を広げることになるでしょう。また、経済産業省と連携して「メード・イン・ジャパン」を推進する日本ファッション産業協議会にも関わっているので、質の高い日本製品のグローバル需要にも注目しています。
ー海外進出についての考えは
私は40年ほど前から「海外の時代が絶対来る」ということ言い続けてきました。以前は日本のアパレルや日本のマーケットが豊かでしたから、消費者がどんどん買ってくれた時代だったんですね。でも、国内市場はそろそろ限界に来ているんじゃないんでしょうか。日本のアパレルは、海外で飯が食えるようにならないと今後発展しないと思います。
ーこれから攻めるマーケットは
アメリカやヨーロッパは洋服を学ぶ場所であって、そのマーケットに攻め込むのはなかなか難しい。特にポテンシャルの高いアジアの方に目を向けて、2014年に香港にTSI Asia Ltd.を設立しました。大きなマーケットである中国と香港、そしてシンガポールを開拓します。
土地代がどんどん上がっていたり、特に中国との交渉は難しい面もありますが、それでもやはり成長著しいASEANにはチャンスがある。商売を広げるにはメード・イン・ジャパンを海外に売っていくというのも一つだし、またASEANで生産した商品をその土地でドロップして売るようなシステムも考えられますね。
■新しいTSIを作り、時代を掴む
ーグループ組織再編に伴い、本社の拠点を表参道エリアに移しました
ファッションの中心地ですから、会社の雰囲気は変わりましたね。分散と集中の新しい経営方針で要となるTSIホールディングスが何をやるか。新社屋では本社機能のうち、グループ経営戦略の企画立案部門等を集約しています。古いイメージを払拭し、新しいTSIを作る。時代はどんどん変わっていきますから、私自身もバトンタッチして、次の世代に受け継いでいくことを視野に入れています。
ー国内アパレルにとって厳しい時代が続いているが、どう生き抜いていくか
はっきり言って「洋服離れ」をしていますよね。特に若者は、ファッションに対する消費額が極端に減っていますから、ファッションだけでやっていくのは大変厳しい時代です。そういう意味では、ファッションの中心層の年齢が上がっていくということになるかもしれませんね。30〜40代、あるいは50代になるかもしれない。でも私は、それが当たり前だとも思うんです。逆に大人がきちんとした服を買い、日本の文化度が上がっていくことになればと期待しています。
市場が変わることで世の中が変わるので、時代の変遷に応じて我々も変わるべきです。追いかけるのではなくて、「時代をどう掴んでいくのか」ということが、我々TSIのミッションだと考えています。
■TSIホールディングス:公式サイト
(聞き手・小湊千恵美)