【トップに聞く】経営統合から3年で黒字化 TSIホールディングス三宅正彦
■「衣食住遊」の業態開発
ー今年5月には、表参道に複数の業態を集積した初の商業施設「ソーカルリンク表参道(SO-CAL LINK OMOTESANDO)」をオープンしました。特に新事業でアパレル以外の分野への広がりが目立ちます
我々は洋服が主ですが、ファッションを「衣食住遊」と捉えています。既存事業では、「ナチュラルビューティーベーシック」にビューティーやライフスタイルグッズを取り扱う新カテゴリーを取り入れました。3月にオープンしたNYブランド「トッド スナイダー」の世界初のコンセプトショップでは大人の男性に向けたライフスタイルを提案していますし、「ソーカルリンク表参道」ではアメリカ西海岸のカルチャーを集積しました。今後は、グループが所有している不動産などを活用した施策も考えています。
ー2015年には、トランジットジェネラルオフィスとの合弁会社ディーエイビイ ペイストリーにより、NYの人気ベーカリー「ドミニク・アンセル・ベーカリー(DOMINIQUE ANSEL BAKERY)」を上陸させます
「衣食住遊」の中でも、特に関心を持っているのが「食」です。既存事業では今年、「ナノ・ユニバース」が初のレストランを神南に出店しました。「ソーカルリンク表参道」にはオーガニックコーヒーを提供するカフェを併設していて、「トッド スナイダー・タウンハウス」店内のバーでは珍しいウイスキーも飲めるんですよ。新たに日本に持ち込む「ドミニク・アンセル・ベーカリー」はクロナッツの有名店で、日本1号店は来春、表参道エリアに出店する計画です。その後、国内各地にも出店を広げます。
ー新規事業に着手する上で、新たなM&Aの見通しは
M&Aについても、アパレルだけに限らないという流れになるでしょう。それから、最近私が社内でよく言っているのは「国内も海外も関係無い時代になってきている」ということです。海外でも通用するようなことをやっていかなければいけません。
■EC強化とオムニ化
ー今年10月には直営ショッピングサイト「SELECSONIC」を全面的に刷新し、ファッションオンラインストア「MIX.Tokyo」をオープンしました。ブランドの公式サイトではオムニチャネル化を進めています
インターネット販売の強化は、グループ再編の大きな目的のひとつでした。リニューアルオープンした「MIX.Tokyo」では、「ウェブ接客」や「バーチャサイズ」といった新機能を導入しています。新会社のTSI ECストラテジーでは外部からも人材を投入して、これからも充実させていく予定です。
ー全体からECが占める売上の割合と目標値は
全体のEC化率では現在9.6%。以前から10%を目標にしてきましたが、業態別にみると30%を超えている会社もあれば、一方で5%未満の会社も多いので、それぞれの戦略が必要になります。低い業態については、子会社のTSI ECストラテジーを機能させて、全体の底上げを図っていくイメージです。基幹ブランドについては徐々にオムニ化を図ってプラットフォームを作っている状況で、今年はナノ・ユニバースやナチュラルビューティーベーシック等の主力ブランドを中心に大幅なリニューアルをしましたが、全体的には2015年からが本格展開になります。
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