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Lecture COLOR KNOWLEDGE

COLOR SYSTEM-5

PCCS(Practical Color Co-ordinate System:日本色研配色体系)

「PCCS(Practical Color Co-ordinate System:日本色研配色体系)」は1964年に(財)日本色彩研究所によって開発されたカラーシステムです。その名からもわかるように「色彩調和」を考えるのに適してます。PCCSは、「色相」「明度」「彩度」の三属性で色を表す方法の他に、「明度」と「彩度」を融合した「トーン(色調)」という概念を持っており、「色相」と「トーン」の二属性で表すことができます。「色相」と「トーン」によって体系化されたカラーシステムであることはPCCSの大きな特徴となっており、このシステムは「ヒュートーンシステム」とも呼ばれています。

PCCS色相環
PCCS色相環 ※クリックで拡大
暖色、寒色、中性色の境界は諸説あり、おおよその目安です。

色相はHue(ヒュー)といい、心理4原色を骨格とした色相環になっています。まず、円周上に心理4原色の「赤(2:R)」「黄(8:Y)」「緑(12:G)」「青(18:B)」を時計回りに配置し、その4色の対向位置にそれぞれの心理補色を置いて8色相にし、その間が等間隔になるようにさらに4色を補間して12色に、さらにそれらを2分割にして合計24色相となっています。心理補色とは、ある色をしばらく見つめた後に、白い紙などに視線を移した時に残像として見える色のことをいいます。


PCCS明度 ←PCCS明度
※クリックで拡大

明度はLightness(ライトネス)といい、最も明るい白を明度9.5、最も暗い黒を明度1.0とし、その間を等間隔になるように16色の無彩色を挿入、0.5ステップの合計17段階になっています。

彩度はSaturation(サチュレーション)といい、無彩色を0s、純色を10sとし、その間を知覚的に等間隔になるように分割し合計10段階になっています。しかし、10sは、色票では再現できない色のため、色票においての純色は9sとなっています。

PCCS彩度
↑PCCS彩度 ※クリックで拡大


PCCSの色立体は、横から見ると、たすきがけのような斜めの形をしています。これは、色相によって、縦軸で表す明度が異なるためで、8:Yの明度が最も高明度で、その心理補色である、20:Vが最も低明度になっています(右端写真参照)。真上から見ると綺麗な正円の形をしています。これは、どの色相も最高彩度の色票は9sと決まっているためです。等色相面を見てもその様子が分かります。

PCCS色立体
(写真提供:日本色研事業)
PCCS等色相面
PCCS等色相面 ※クリックで拡大

PCCSは、「トーン」という概念を持ち合わせているため、色立体のような三次元だけではなく、二次元で、三次元色空間を表記することが可能です。こうしたヒュートーンシステムを応用した表示方法は、色彩調和を考える上で、大きなメリットとなっています。この特性を生かし、多くの教材が用意されていることもPCCSの特徴です。 トーンは、「さえた」「明るい」といった形容語が設定されているとともに、英語の対応語が決められており、その略記号(トーン記号)でそのトーンを表します。「トーン」の概念を使いこなすことは、色彩調和を考える上で大いに役立ちます。

PCCSトーンマップ PCCSトーンの成り立ち PCCSトーンのイメージ
※クリックで拡大

PCCSの色の表示方法は、「トーン記号」を使って二属性で表す場合と三属性をベースとした「PCCS記号」で表す場合の2種類がありますが、ほとんどの場合、トーン記号で表す方法が使われています。

PCCSの色の表示方法

★ トーン記号(二属性)で表す方法
① 有彩色:「トーン記号−色相番号」の順に表記
  例)v2(ビビッドのに)
② 無彩色:Gy−(グレイの略+ハイフン)を頭につける
  例)Gy-5.5(じーわい、ごーてんご)

★ PCCS記号(三属性)で表す方法
① 有彩色:「色相−明度−彩度」の順に表記
  例)2:R-4.5-9s(にあーる、よんてんご、の、きゅーえす)
② 無彩色:n−(ニュートラルの略+ハイフン)を頭につける
  例)n-5.5(えぬ、ごーてんご)


TEXT by Yae Totokawa

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