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 今年2月に閉場した名古屋市唯一の常設寄席、大須演芸場(同市中区)が短編映画の舞台になった。ここを拠点にしていた芸人たちも出演し、近隣の人たちや愛好家もエキストラで参加。「演芸場再開の弾みになれば」との思いを込めて熱演した。来年2月4日に完成披露会がある。

 11月30日。閉場後も残る大須演芸場の建物で、午前10時ごろ撮影が始まった。「本番!」。客席を埋める約130人のエキストラが一斉に笑い出す。手をたたいたり、体を揺すったり。「OKです」。一番大事なカットという酒井麻衣監督(23)の一声で空気がゆるみ、大きな拍手が起きた。

 映画「笑門来福」は、日常に疲れて笑顔を忘れた24歳の女性・有実が、大須演芸場で心からの笑いを取り戻す人情劇の短編。芸人集団「東海地区に演芸を広め隊(海演隊)」が本人役として出演するシーンや、有実の祖父から祖母へのプロポーズの場面が、11月末からの3日間で撮影された。