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 中国軍が尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖に軍艦を派遣していることで、日本側の警戒感が高まっている。その動きは外交に連動しているように見える。複数の中国軍関係者は、軍トップでもある習近平(シーチンピン)国家主席の意向が働いている可能性を示唆する。

 日米中の軍事・防衛関係者によると、尖閣沖に常駐している中国軍の2隻は、ふだんは離れた海域を航行している。発進したかと思うと、突然、船首の方向を90度以上変え、尖閣沖に向けてピッチをあげる。中国海軍を研究する米海軍大学のトシ・ヨシハラ教授は「日本に領土問題の存在を認めるように迫る強いシグナル」と指摘する。

 複数の中国軍関係者は、共産党内にできた組織が、軍艦や監視船に直接指示を出している、と指摘する。正式発表されていないが、日本政府が尖閣国有化を決めた直後の2012年9月、党は東シナ海や南シナ海の領有権問題に対処する「党中央海洋権益維持工作指導小組」を新設した。

 トップには習氏が就いた。外交を総括する楊潔篪(ヤンチエチー)・国務委員(副首相級)のほか、監視船を管理する国家海洋局長や軍総参謀部の幹部らで構成されている。メンバーが、無線やテレビ電話を使って現場の軍艦や監視船に指示を出すという。トップの意向を素早く現場に伝え、効率的に監視活動を展開する狙いがあるようだ。

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