DDoS攻撃:大量データ送りダウン 闇サイトに代行業者
毎日新聞 2014年12月30日 07時00分(最終更新 12月30日 07時33分)
大量のデータを標的のコンピューターに送りつけダウンさせるDDoS(ディードス、分散型サービス拒否)攻撃を代行する業者がアンダーグラウンドサイトで横行している。今年9月にはこうしたサイトを利用して、オンラインゲーム会社の業務を妨害した疑いで男子高校生(16)が警視庁に書類送検された。情報セキュリティー会社は「素人でも手軽に利用できるようになっている」と指摘し対策の必要性を訴える。【関谷俊介、林奈緒美】
情報セキュリティー大手トレンドマイクロの東京都渋谷区にあるラボ(研究所)。数十人がパソコンに向かって、サイバー攻撃を代行する海外のアングラサイトなどを監視している。
「DDoS攻撃のサービスを提供しています 価格 50ドルから」。サイトにはロシア語でそう書かれていた。「攻撃」という言葉を使わず「サーバーに負荷をかけるテストを行う」と宣伝する業者もいるという。
警視庁に電子計算機損壊等業務妨害容疑で書類送検された高校1年生が利用した英字のサイトも「負荷テストを行う」とPRしていた。ゲーム会社の運営に不満を抱いていた高校生は、インターネットで検索してこのサイトを見つけ、ネット専用のプリペイドカードで8ドル(当時のレートで800円)を支払い代行業者に攻撃を依頼。代行業者は3月19〜20日に計33回、ゲーム会社のサーバーに攻撃を仕掛け、機能を低下させたとされる。
業者側については、海外に所在していることに加え、攻撃ではなく「負荷テスト」をうたっているため立件が見送られた。高校生は捜査の初期段階から「やらなければよかったと後悔している」と供述していたという。
クラウドサービス大手の米アカマイ・テクノロジーズによると、7〜9月のDDoS攻撃の件数は前年同期比で22%増えた。トレンドマイクロがロシアのアングラサイトを調査した結果、DDoS攻撃を1時間仕掛ける場合の料金は2013年は2〜60ドル。11年は最高で10ドルだったが、需要の高まりにつれ、値段が上がっている。
トレンドマイクロの鰆目(さわらめ)順介シニアスペシャリストは「ロシアや東ヨーロッパでは、コンピューター工学を専攻した学生が職に就けず、サイバー犯罪の世界に入ってしまうケースがある。『アングラサイトを利用してサイバー攻撃をしたら犯罪になる』ということを国内で認知させるだけでなく、国際的な対策も必要になっている」と話した。