ギリシャ:「再破綻」現実味 反緊縮の支持拡大
毎日新聞 2014年12月29日 21時44分(最終更新 12月30日 00時39分)
【バルセロナ坂井隆之】ギリシャで来年1月に解散・総選挙が実施されることになり、欧州市場での「ギリシャリスク」再燃は避けられない見通しになった。財政緊縮策の放棄を掲げる野党・急進左派連合が、世論調査でトップの支持率を得ており、同党が政権を握った場合、ユーロ圏諸国などによる支援継続が難しくなるからだ。
「欧州では世論の感情に変化がみられる。急進左派連合が政権を取り、(ギリシャ支援についての)新たな交渉が始まるとの考え方が受け入れられつつある」。ロイター通信によると、急進左派連合のツィプラス党首は大統領選の3回目の投票に先だって、反緊縮への支持が広がっているとの認識を示した。
ユーロ圏と国際通貨基金(IMF)は2010年5月、ギリシャへの総額2400億ユーロ(約35兆円)の金融支援を決めた。段階的な融資と引き換えに、ギリシャは公務員削減や年金減額、増税などの緊縮策を国民の不満を抑えながら実施。サマラス首相は今年10月、支援終了時期を予定の16年から、年内に前倒しする意向を示した。
だが、今秋まで6%程度で推移していたギリシャの10年物国債利回りは、大統領選の混乱を受け、12月には9%超まで急騰(国債価格は急落)。支援脱却どころか、逆に支援終了後も緊急時の融資枠を設けてもらう交渉をユーロ圏などとすることになった。総選挙が事実上、確定したことを受け、ギリシャ売りはさらに加速し、29日の欧州市場でギリシャ株は一時約11%下落した。ロイターによると、国債利回りは9.7%台と、24日の8.5%台から急上昇した。
ツィプラス氏はロイターのインタビューで、ユーロ圏と欧州中央銀行(ECB)に、債務の減免を求める意向を示している。ユーロ圏などが受け入れる可能性は低く、支援打ち切りによる「ギリシャ再破綻」が現実味を増している。