稲葉ほたての仕事メモ

ネットライターやってます。仕事のメモを置いておきます。

バイラルメディアって何だったんだろう


で、バイラルメディアって儲かるの?4ヶ月運営した管理人が驚きのアフィリエイト収入を公開 | netgeek

 

ネットギークが何を言ってるんだ、というツッコミ待ちの記事なんだろうけど、このサイト、わりと自分は普通に毎日見てしまってるので、そこは何も言えない(……いつも背後に黒い何かがあるサイトな気がしてならないけど……w)

ただ、今年バイラルメディア関係者の話を聞いて本当に驚いたのが、この分野はマジでビジネスもコンテンツもテクノロジーも、よくわかっていない人間たちばかりが運営していたことである。ぶっちゃけ、ネットの流行りものと言われている分野で、ここまで(言っては悪いが)「低脳」な人たちが集まっている場所なんて、初めて見たとさえ思った。

もちろん、インターネットは参加に制限のある場所ではないので、下を見ればキリがないのだけど、この旅のサイトにしても最低限のビジネスモデルについて知識があれば、こんなひどい話にはなり得ない。以前に落合陽一さんが、アーティストのようにアプリやウェブサービスを作る時代が来ているんだと力説していたけど、そのネガがこういう人たちの存在であって、要は一攫千金を狙って寂れた商店街でどうでもいいカバー曲を歌ってるアマチュアミュージシャンとかに当たるのが、彼らなのだろう。ほら、「Wordpressさえあれば君も出来る」という言い方って、「ギター一本で世界を狙える」みたいな話みたいでしょ。

じゃあ、プロのミュージシャンは何をしてるのかという話だけど、そんな人たちはギター一本でスケールする形で差別化するのなんて死ぬほど難しいことくらい知り抜いているので、そもそもこんな場所には来ないし、大体ソーシャルメディアのバズのようなストック性のないもので金を稼ぎ続けるなんて、望んで自転車操業の人生を歩むに等しい。そもそもマトモに物事を考えられる人が来るような場所ではないのだ。

 

それにしても、学生時代からニュースサイト周りで5年以上仕事をしていて、これほどネットライターの価値が跳ね上がった時代はないと思う(「君、死にたいの? 馬鹿なの?」と言われ続けた記憶しかないっすからね!)。来年はオウンドメディアが話題になるのは確実で、既に自分の周囲でも複数の契約を抱えてる人が結構いる。

それ自体はありがたい話なのだけど、ほとんどのメディアはバブルの頃の広報誌みたいに、単なる誰も読まない赤字メディアとして死んでいくのだろうと思われる。実際、パーティとかで会うオウンドメディア周りの人になると、昨日まで広報をやっていた人が社長からいきなり任命されて、一人だけの担当者としてとりあえず一日一本入魂の記事をリリースし続ける、みたいな必敗確実な運営をしてたりして、うーむと思う。

本気で勝ちに行くのなら、コンビニ弁当以下の価格でライターから記事を買い叩いて、長文のまとめ記事を毎日何本もリリースしていった某社のような詐欺力の高さが必要なんじゃないかしら(今はどうか知らない)。いずれにせよ、長続きする話ではない。

 

ちなみに個人的には、わりとマジでディープラーニングなんかで、いまウェブメディアの編集・ライターが持ってる、プレリーから1000字以下のニュースを即座に書き起こす能力や、タイトル付けのスキルは代替されていくように思う。まあ、10年単位での話になるかもしれないけど、そのときにはバズメディアなんて人間が運営する必要はちっともない。特にネットのタイトルなんて、糸井重里的なシンボルの領域を操作するコピーライティングではなくて、顧客接点でのチラシ的な煽り要素の方が重要なわけで、そうなると因数分解は結構やりやすい。

仕事の合間に時折、そうなったときに残る価値ってなんだろうと考えることがある。例えば、ニューラルネットワークがまだ追いつけないような類の複雑なニュアンスを帯びた長文でヒットを飛ばせるスキルは、結構イケると思う。その土俵にまで持ち込めば、単に「面白さ」の勝負になるので、どこまで行っても「拮抗」くらいにとどまれそうな気もする。だけど、より本質的なのは編集やライティングの概念を記事を書くという行為に閉じさせずに、より広く総合的な概念へと拡張させていくことではないかと思う。それは企画屋と言われる稼業に近いのかな、とも思う。そう考えると、ネットメディア出身の書き手も結局は出口は、あんまり紙の時代と変わりませんね、という話かもしれない。