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未来を予測するマシン、量子コンピューターの「いま」

量子力学の原理を情報処理に応用するコンピューター、「量子コンピューター」。スーパーコンピューターが数千年もかかって解く問題を、数秒で計算できるようになると期待されている。NHKスペシャル「NEXT WORLD 私たちの未来」取材班が訪ねたのは、未来学者レイ・カーツワイル、カナダのコンピューター企業「D-Wave Systems」だった。

 
 
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カナダのコンピューター企業D-Waveは、2011年、「世界初の商用量子コンピューター」と謳った「D-Wave One」を発売。2013年に発売された継続機をNASAやグーグルが購入したことでも話題となっている。

WIRED、取材成果を独占公開!
1月3日からNHK(総合)にて放送されるNHKスペシャル「NEXT WORLD 私たちの未来」。シリーズ5回の放送で紹介されるのは、科学やテクノロジーの進展によって実現しうる、夢物語ではない未来の姿だ。『WIRED』では、番組の取材班が行った世界中の研究者や企業への広範な取材成果を、15回の連載記事として公開する。番組の第1回(2015年1月3日放送予定)のテーマは「未来はどこまで予測できるのか」。人工知能が人間の知能を上回るといわれるいまから30年後の2045年、わたしたちの生活はどう変わるのだろうか。

アメリカの未来学者レイ・カーツワイルは、30年以内に人間の知能を超えるコンピューターが生まれると予言する。

「わたしがもっているスマートフォンは、学生のときに使用していたコンピューターより、値段は10億分の1、性能は10億倍以上の力があります。われわれは今後25年間も再び同じ進化をたどります。コンピューターの値段は、いまの10万分の1になり、大きさも血液細胞と同じくらいになるでしょう。われわれはますます世界中から多くの情報をかき集め、予測能力を高めていくことになるのです」

よく知られる「ムーアの法則」は、チップ上のトランジスタが倍々ゲームで小さくなり、チップそのものも小さくなるというものだ。チップの密度が高まることが、コンピューターの性能の向上に置換可能だと考えられている。

チップの発達の歴史は、回路と回路の隙間を細くする技術の発達と軌を一にする。配線と配線の距離を縮めることでチップはより小さくなり、処理速度も速くなった。いまでは、原子の大きさとほとんど変わらない4nmまで縮めてきた。

しかし極端に近づいたため、配線通りに進むべき電子が隣の配線に飛び出てしまい、回路から回路へジャンプする現象が起こり始めている。「リーク電流」と呼ばれるこの現象は、機器の誤作動の原因となる。高速化・極小化を突き詰めるほど、リーク電流が増えるというジレンマに陥っているのだ。

つまり、現在の技術では「ムーアの法則」は限界を迎えつつあるのだ。カーツワイル教授の予測どおり、人間の知能を超えるコンピューターが生まれるとしても、それは現在の技術の延長線上にあるとは考えにくい。

「シンギュラリティ」についての著述でも知られるレイ・カーツワイル。2013年にはGoogleに合流し、同社のAIについての研究領域を大きく広げる存在として期待されている。”Untitled” By null0 (CC:BY)


 
 
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