日韓次官協議:「1年間の関係総括」特別な進展なし

毎日新聞 2014年12月29日 18時54分

 【ソウル澤田克己】外務省の斎木昭隆事務次官は29日、ソウルの韓国外務省で同省の趙太庸(チョ・テヨン)第1次官と日韓関係全般について協議した。斎木氏は協議後、「1年間の日韓関係を振り返って総括する趣旨」だったと述べ、特別な進展はなかったことを示唆した。

 協議では日本側から、朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして産経新聞前ソウル支局長が在宅起訴された問題や、戦時中に日本企業で働かされた韓国人の元徴用工が起こしている裁判などについて、「日韓関係の大局を損なわないような対応を取ってほしい」と韓国側に要請した。慰安婦問題では、双方が原則的な立場を述べた模様だ。

 一方、斎木次官を乗せた車が韓国外務省に入ろうとした際、この日発効した日米韓による防衛秘密情報共有取り決めに反対する20人強のデモ隊に妨害され、いったん日本大使館に引き返す騒ぎがあった。日本大使館は、韓国外務省に抗議した。趙氏は、斎木氏に「遺憾の意」を表明した。来年は日韓国交正常化50周年の節目だが、慰安婦問題を巡る見解の差で両国関係は悪化したままの状態が続いている。

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