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【ありがとう八十年(176)】長嶋茂雄、監督1年目の屈辱バネ…76年最終戦で舞う

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レジェンドが語るプロ野球史
77年に2連覇を飾り、張本勲(左)、王貞治(中央)と美酒に酔う

77年に2連覇を飾り、張本勲(左)、王貞治(中央)と美酒に酔う【拡大】

 1974年11月21日、巨人の監督に就任し、第二の野球人生がスタートしました。キャッチフレーズは「クリーンベースボール」。クリーンの意味は「鮮やか」です。鮮やかなプレーをファンに見てもらいたかったからね。

 背番号は「3」を3回足した「9」に「0」をつけた「90」。小学3年生だった長男、一茂と決めました。ヘッドコーチは関根潤三さん。球団常務の川上哲治前監督からはV9時代の参謀だった牧野茂さんを薦められましたが、気心が知れた人がよくてね。

 しかし、開幕戦から「クリーン」とはいきませんでした。戦力はV9時代の半分くらいかな。前年まで現役でしたから、ベテラン選手と一線を画すのも難しかったですよ。しかも、王(貞治)さんがキャンプが終わった後に左足を痛め、開幕に間に合わなくてね。「きょうも負けたか。よし、あした勝とう」の繰り返しでした。

 「全部勝とうとするからだ。捨てゲームをつくらないと」という声もありましたが、捨てゲームなんて、とんでもない。球場に足を運んでくれるファンは、試合ごとに違いますからね。

 《巨人は74年限りで長嶋氏、捕手の森昌彦(現祇晶)、遊撃手の黒江透修が引退。75年はV9戦士の高齢化に加え、開幕直後に来日したデーブ・ジョンソンは打率・197、13本塁打、38打点と振るわず、47勝76敗7分けで球団史上初の最下位に終わった》

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