福島第一原発 防災対策案を了承12月23日 4時31分
廃炉作業が進められている東京電力福島第一原子力発電所で、再び事故が起きた場合の防災対策を検討する原子力規制委員会の有識者会合が開かれ、緊急時、半径30キロ圏内の住民には屋内退避を指示し、避難指示区域に一時的に立ち入っている人には退去を求めるなどの案が示され、おおむね了承されました。
現在、福島第一原発の周辺地域には、一般の原発と同じ原子力災害対策指針が暫定的に適用されていますが、周辺に避難指示区域が広がっていることなどを踏まえて、原子力規制委員会の有識者会合で個別の指針を検討しています。
22日の会合では、まず、おおむね半径30キロ圏内を対策の重点区域とする考え方は一般の原発と同じとし、30キロ圏外にも広がる避難指示区域の扱いについては、自治体の意見を聞きながら検討することになりました。そのうえで、原発の敷地の境界付近で一定の放射線量が測定されるなどの緊急時に、30キロ圏内の住民には屋内退避を指示し、30キロ圏内の避難指示区域に一時的に立ち入っている人には、早めに退去を求める案が示されました。これについて、「立ち入っている人にどう連絡するか検討が必要だ」といった指摘が出ましたが、おおむね了承されました。
このほか、仮に福島第一原発にあるすべての放射性ヨウ素が放出されても、敷地境界で想定される甲状腺の内部被ばく線量は安定ヨウ素剤の国際的な服用基準を下回るというシミュレーション結果が示され、専門家から「ヨウ素剤の備蓄は必要はない」という指摘も出ましたが、自治体側の意見を聞くなどして、今後、改めて検討することになりました。