10回の海外出張を含む慌ただしい3カ月が過ぎ、やっと一息ついて、時差ボケを解消し、この間見聞きしたことについて頭を整理しようと努めているところだ。世界の地政学的な話題はさておき、私の当座の結論は、各国首脳の取材はホテルのロビーでするものではないということだ。
最初のロビーでの出来事は、マドリードにあるリッツ・ホテルで、フィナンシャル・タイムズ主催の「スペイン・サミット2014」の主賓であるラホイ首相を待っているときだった。ロビーの片側にはカメラマンとテレビクルーが横一列に並んでいた。私は数人の同僚と同ホテルの経営陣と一緒にロビーの反対側に立っていた。
■今か今かと待っていたら
ラホイ氏専用のリムジンが車寄せに近づいてきて、同氏とその側近らがホテルの玄関に向かってくるのが見えた。まさにその瞬間、年配の米国人観光客の一団がエレベーターから出てきた。明らかにアメリカ人とわかるスエットズボンに蛍光色のサンバイザーといういでたちのその集団は、ロビーをよろよろと横切り始めたかと思えば、「バスはまだか」と大声で叫んだのだ。
ホテルの支配人は一瞬凍りついた。この米国人らを追いやりたい気持ちと、とはいえ誰に対しても丁重さを失わないホテルマンとしての職業意識との間で気持ちが引き裂かれていた。何とかその場をうまく切り抜けたが、きわどかった。
次の週、ミラノのウェスティン・ホテルで似たような場面に出くわした。同ホテルは同市でのアジア欧州会議(ASEM)首脳会議の開催期間中に各国首脳の本拠として利用されていた。買い物袋を下げた観光客が同ホテルのロビーをぶらぶらと歩いており、一方、その脇にある楽しげな名前のついた「カサノバ・レストラン」で、ロシアのプーチン大統領が、ドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領、ウクライナのポロシェンコ大統領らと食事をしていた。私は、コンシェルジュ・デスクの脇で携帯電話に向かって小声で何かヒソヒソ話している人物がプーチン氏のおしゃれな髪形をした報道官、ドミトリー・ペスコフ氏だとわかったが、その時やっと何かあるなと気づいたのだ。
ついに、カサノバ・レストランのドアが開き、首脳らが一斉に出てきた。最初に出てきたのはメルケル氏とオランド氏で、お付きの警護員らが、殺到する取材陣を制止する中、2人は会話を交わしながら車寄せに向かった。次に出てきたのは無表情なプーチン氏だった。いかついボディーガードに囲まれ、同氏の小柄な体格がなおさら目立って見えた。
■安倍氏の返答が騒ぎに
同ホテルでは、日本の首相とも取材の約束があった。安倍首相はホテル1階の会議室で側近や報道陣に囲まれていた。
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