政権と農協、佐賀の陣 菅氏応援入り、攻防
菅義偉官房長官は28日、佐賀市を訪れ、自民党分裂選挙となった佐賀県知事選(1月11日投開票)で自民、公明両党が推薦する元同県武雄市長の樋渡啓祐氏(45)の支援に入った。各種団体幹部を集めた会合も開催。樋渡氏支援が安倍晋三政権、自民党本部の意向であることを強調し、組織の引き締めを図った。
「私たちは地方創生をしっかりやる。だが実行には首長のアイデア、行動力、突破力が必要。間違いなく樋渡さんはできる」。年末の買い物客でにぎわう商業施設前。菅氏は街頭演説で樋渡氏を「地方創生」のシンボルに持ち上げた。市図書館の民間委託などの実績に加え、先の衆院選で知事から転身した古川康氏と数カ月前に会談した際には既に、後継は「樋渡君に」と託されていたというエピソードも初めて明かした。
だが自民を支えてきたJAグループ佐賀の政治団体「県農政協議会」は元総務省官僚山口祥義(よしのり)氏(49)を推薦。相当数の地方議員も山口氏支援で動いている。
菅氏は演説に先立ち、県建設業協会などの幹部約20人を佐賀市の料亭に集めた。出席者によると、樋渡氏の政治手法を「独善的」と懸念する声も出たが、菅氏は「私たちが指導するから」と抑えたという。
党本部は谷垣禎一幹事長の応援も検討しており、山口氏を支援する地方議員の一人は「党の処分をこれほど心配しながらやる選挙は初めてだ」とこぼす。
知事選には他に、九州大学大学院教授の島谷幸宏氏(59)、農業の飯盛(いさがい)良隆氏(44)が立候補している。
=2014/12/29付 西日本新聞朝刊=