「引き揚げ犬」クロのキャラクター登場 京都・舞鶴引揚記念館
シベリア抑留の収容所で飼われ、抑留者とともに舞鶴へ帰還した「引き揚げ犬」クロのキャラクターが登場した。舞鶴引揚記念館(京都府舞鶴市平)が、子どもに引き揚げを広く知ってもらおうと作成し、帰国時の喜びを体全体で表現している。
クロは1956年12月、抑留者最後の引揚船「興安丸」で帰国。ソ連はナホトカ港で同乗を許可しなかったが、クロは流氷の上を走って船を追いかけ、沖合で船に乗った。その後、舞鶴で61年ごろに死んだ。
厳しい抑留生活で、人と犬との愛情を示すエピソードとして話題を呼び、同館では今年から修学旅行生などに紙芝居でクロの生涯を伝え始めた。子どもからは「感動した」と好評で、館職員でポスターデザインを担当する金村聡さん(40)が11月下旬、キャラクターを作成した。
抑留者のコートと帽子を身にまとい、笑顔で飛び跳ねて、引き揚げ時の歓喜や抑留者への愛情を表現する。看板を赤れんがパーク3号棟の特別展入り口に掲示し、イベントで配布する缶バッジも作製した。今後はPRパンフにも掲載する。
金村さんは「引き揚げの史実はよく知られていない。子どもたちの興味の入り口になってもらえれば」と期待している。
【 2014年12月29日 10時00分 】