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先日、ある記事が音楽業界を賑わせた。大手テクノロジーメディアのVentureBeatが12月19日号に掲載した記事のタイトルは「Spotifyはミュージシャンのことよりも自分たちのIPO(株式上場)のことで頭がいっぱいだ」というもの。同記事は「Spotifyの本当の存在理由は上場によって株主に数十億ドルをもたらすこと。その恩恵は(株を保有する)レコード会社にももたらされるが、楽曲を提供しているミュージシャンにはボーナスが共有されることはないだろう」と述べている。(参考:VentureBeat)
2014年の音楽業界を見渡すと、実に様々な動きが見受けられた。日本上陸も噂されたSpotifyの世界的躍進とそれに追随するPandora RadioやRhapsodyといった老舗ストリーミングサービスの存在感。アマゾン(Amazon Prime Music)やアップル(iTunes Radio)、グーグル(YouTube Music Key)といった巨大IT企業の参入。アメリカでは上半期の売上で初めてストリーミング(8億6000億ドル)がCDの売上(7億1900万ドル)を上回り、フィジカル同様にデジタルダウンロード市場の縮小は止まらずにいる(前年度比13%減の13億4400万ドル)。
一方でミュージシャンや音楽レーベルにとっては「ストリーミングサービスは儲からない」ということが定説となり、テイラー・スウィフトは「音楽は無料であるべきではない」という言葉と共に、Spotifyから全アルバムを撤退した。このような論争はかねてからミュージシャン間でも続いており、トム・ヨークは「ユーザーがSpotifyで発見した新人アーティストには金が支払われていない。一方で、株主にはそのうち金が転がり込むことになる」と自身のソロ・アルバムとアトムス・フォー・ピースの音源を引き上げ、それに同調したデヴィッド・バーンはガーディアン紙に「ストリーミングサービスは世界中から全てのクリエイティブなコンテンツをダメにする」というエッセイを寄稿。Spotifyのようなビジネスモデルはクリエイティブな作品を支援していくためには長続きしないと主張している。また、先日には音楽業界で最も影響力のある権利団体「Global Music Rights」がYouTube Music Keyからファレル・ウィリアムスやジョン・レノンなどの楽曲およそ2万曲を削除するよう声明を発表している。
他方、若いミュージシャンの間ではストリーミングサービスを戦略的に利用する動きも見られる。ワン・ダイレクションは新作アルバム「Four」でSpotifyとTwitterを連動させたマーケティングを実施。テレビCMや音楽誌ではない新しい形のプロモーション施策を展開した。またエド・シーランは「Spotifyによって認知が拡大したおかげで、ウェンブリースタジアムで3夜ライブができるまでになった」とSpotifyを擁護。「南アフリカのライブはソールドアウトだった。韓国でも東南アジアでもアリーナがソールドアウトだった。僕にとってSpotifyは音楽について回る必要悪とは思わない。Spotifyは僕がやりたいことを支援してくれるんだ」と同サービス収益源としてではなく、ライブへファンを動員するためのプロモーションツールとして活用していることをBBCのインタビューで明かしている。(参考:BBC)
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