伊勢神宮(三重県伊勢市)の内宮入り口に架かる宇治橋の両端の鳥居がそれぞれ20年ぶりに新調され3日、完成式が開かれた。新しい鳥居には、昨年10月にクライマックスを迎えた式年遷宮後に取り壊された内宮(ないくう)と外宮(げくう)の旧正殿の屋根を支えたヒノキの「棟持柱(むなもちばしら)」(直径約70センチ、高さ約10メートル)が使われている。
伊勢神宮の事務を取り扱う神宮司庁によると、鳥居はいずれも高さ約7.4メートル。初めて鳥居が設置された時期は不明だが、宇治橋が描かれた室町時代後期の絵には既に鳥居がある。式年遷宮に合わせて20年ごとに建て替えられ、9月29日から工事が始まった。
完成式では、最終工程として、宮大工約15人がクレーンを使い、鳥居の最上部分に当たる笠木を西側の新鳥居にはめ込んだ。式を見た伊勢市の男性(83)は「膝が悪く参拝はできないが、真新しい鳥居を拝めてよかった」と笑顔だった。
古い鳥居は、江戸時代に伊勢国の玄関口で宿場町としてにぎわった三重県桑名市の「七里の渡し」と、伊勢路と東海道の分岐点となる同県亀山市の「関宿の追分」でそれぞれ再利用され、その後も各地の神社などで鳥居や部材として使われる。〔共同〕
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