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かたまり肉からひき肉まで。肉をうまく調理するためのルール4つ
肉の調理法はたくさんありますが、私たちのキッチンでの何年にもわたる料理の経験から得た、基本的なポイントを4つに絞ってまとめました。これを覚えておけば、いつもおいしい肉料理が食べられるはず!
この記事は、もともと「America's Test Kitchen」に掲載された記事です。
1. 風味を出すために高温で調理する
肉の調理で、良い焦げ目をつけると風味が引き出されます。焦げ目を出しているのは、「メイラード反応」です。これは、メイラードさんというフランスの化学者が1900年代に発見した現象で、食品の中のアミノ酸と糖が加熱により褐色反応をおこし、何百種類もの風味が作られるというものです。肉に焦げ目をつけるときは、両面をこげ茶色でカリカリの状態にしたいものです。そのための最適の方法は、高温で調理することです。
しっかりと焼き目をつけるために、肉をフライパンに入れる前にペーパータオルでたたいて、水分をとっておきましょう。これは特に、冷凍していた肉の時には重要な工程です。次に、フライパンを温めて、油が揺らめく、または、煙が出そうなくらいな状態にしておくこと。最後に、フライパンに食材をのせすぎないこと。肉と肉の間には6ミリ程度の間隔が必要です。そうしないと肉に焼き目がつかず、蒸した状態になってしまいます。どうしても多くの肉を一度に焼きたい場合は、2、3かたまりずつに分けて、焼きましょう。
2. 水分を残すために低温で調理する
大きなかたまり肉を調理する時は、低温でゆっくり調理するようにしています。こうすると、外側に火を通しすぎず、真ん中まで望みどおりの熱さになります。
最近の実験で、低温で調理すると均等に火が通るだけでなく、肉汁を逃さないことが明らかになりました。2.7kg以上のリブロースを、1つは230度で、もう1つは120度でミディアム・レアの状態になるまで加熱したところ、120度で加熱した肉は全体の重さの9.25%がなくなったのに対し、230度で加熱した肉は25%がなくなりました。低温でゆっくり調理したほうがタンパク質があまり縮まないため、肉汁を逃さないのです。間違った温度で調理する、というのはよくある失敗です。興味のある方はこの記事をご確認ください。
3. 部位に合わせて調理法を変える
肩やお尻など、よく動く部位の肉は固くて切りにくいものですが、こうした肉は、鍋でローストしたり、鍋で煮込んだり、バーベキューで焼いたりするなど、ゆっくり時間をかけて調理するのに向いています。時間をかけることでコラーゲンを溶かして、固い部分を柔らかくするのです。そのため、しっかり火を通して調理しています。
簡単に切れるのは、牛や豚の背中回りなど、あまり動かさない部位の肉です。すぐに火が通るので、グリルやロースト調理がおすすめです。調理時間が長すぎると肉汁が失われ、肉が固くなります。
4. 肉を休ませる
肉を休ませる目的は、調理の要となる肉汁を再配分させるためです。休ませた肉は、すぐに調理した肉よりも失う肉汁が少なくてすみます。本当かどうか試すため、私たちはステーキ肉のうち2枚を休ませ、2枚をすぐにステーキとして焼きました。その結果、10分休ませた肉はすぐに焼いた肉より4割も流れた肉汁が少なかったです。休ませる時間の目安は、薄い肉の場合は5~10分。厚い肉の場合は15~20分、ターキーのような大きな肉は40分以上になります。
さて、肉の調理をコツを習ったところで、何を作りますか? 今回ご紹介したコツを、ぜひ活用してみてくださいね!
The Five Basic Rules for Cooking Meat | The Feed by America's Test Kitchen
America's Test Kitchen(原文/訳:曽我美穂)
Image adapted from Nikiteev_Konstantin, Richcat, and Mikhail Bakunovich (Shutterstock). Additional images by America's Test Kitchen.
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