落胆する人もいれば、希望を感じた人もいるだろう。見方の分かれる結末になった。

 ペルーで今月開かれた気候変動の国際会議(COP20)である。190以上の国と地域が激論を交わし、何とか合意にこぎつけた。

 温暖化を19世紀末の工業化前から2度未満に抑えるという大目標達成のめどはさらに遠のいた。確かに厳しい結果だ。

 ただ、各国は曲がりなりにも対立を封じて、決裂を避けることを選んだ。温室効果ガスの削減に世界全体で取り組もうと基本合意した意味は大きい。

 温暖化対策は今後、ほぼ永続的に取り組むべき人類の課題である。今回の妥協の先にもっと光明が見えるよう各国こぞって機運を盛り上げたい。

 来年末にパリで開かれるCOP21は、2020年以降の新しい枠組みをめざしている。

 先進国だけに削減義務を課した京都議定書は、米国の離脱も招いたが、今回のペルーでの合意では、途上国を含むすべての国の参加が明示された。

 今年の世界の平均気温は観測史上最高になる可能性が高いとされる。温暖化の主因が人類の活動にあるとの科学的な確信も深まった。

 手をこまぬいてはいられない。すべての国が自主的な目標を掲げることになったのは、その共通認識が広がったからだ。

 いまや世界最大の二酸化炭素排出国となった中国と、第2位の米国も早々に目標を決め、責任を果たす姿勢に転じた。

 一方で枠組みを決める前に各国の目標内容を吟味する仕組みは設けられないことになった。中国やインドなどが目標引き上げを警戒したためで、効果は限定的にならざるをえない。

 それでも提出する目標は明確でなければならず、「公正で、相応の責任を果たすものになっているか」の説明なども盛り込むことになった。おざなりな目標は、国際社会から強い批判を受けることになる。

 省エネや土地利用など温暖化対策の模範事例を共有する技術専門家会合が注目されている。目標の前倒し達成や超過達成に役立つ仕組みも整えたい。

 日本は、国連事務総長や各国から「目標を早く明らかにすべきだ」と強く求められた。

 主要国のほとんどが来年3月末までに目標を出す見込みなのに、日本が遅れるようでは、今後の地球環境問題全体での信頼や発言力が後退するだろう。

 環境技術大国を自任する日本である。内容のある目標づくりを急ぐべきだ。