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誰にでも闇があると思うんです でも闇の中から光は生まれるんですよね

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言葉を忘れるほどの孤独が生んだ、haruka nakamuraの音楽

インタビュー・テキスト:金子厚武(2014/12/26)

東京在住の音楽家、haruka nakamuraが2枚組の新作『音楽のある風景』を完成させた。これまでに『grace』『twilight』、Nujabesとのコラボレーションを基にした『MELODICA』という3枚のソロ作を発表し、地元青森の夕暮れの風景を、過去・現在・未来の3つの視点で描いてきたnakamura。『音楽のある風景』は、即興をベースに作られた『twilight』を契機に編成された「haruka nakamura PIANO ENSEMBLE」によって公開録音が行われ、闇から光への軌跡を描き出した、感動的な大作である。

自由と孤独は常に隣り合わせ。haruka nakamuraの波瀾万丈な音楽人生を紐解いていくと、そんな真理を思い出さずにはいられない。しかし、彼の音楽は、孤独であることが、1人でいることが、本当はいかに豊かな時間であるかということを教えてくれる。そう、結局のところ人間は1人だ。だからこそ、音楽でつながれる一瞬というのは、紛れもない奇跡なのである。『音楽のある風景』はまさにそんな一瞬の邂逅を、光り輝く瞬間を記録した、美しきドキュメントだと言えよう。There is always light behind the clouds.

PROFILE

haruka nakamura(はるか なかむら)
青森県出身。少年期に鍵盤、ギターを独学で学び、2006年より本格的に活動を開始。これまでに『grace』(2008/Schole)、『twilight』(2010/Kitchen.Label)、『MELODICA』(2013/Hydeout Productions)というアルバム3部作を発表。また、Janis Crunchとの『12 & 1 song』(2011/Kitchen.Label)、AOKI,hayatoとの『FOLKLORE』(2014/fete musique)を発表。流動的なメンバー編成の即興演奏プロジェクトharuka nakamura LABOや、ギタリストAOKI, hayatoとのデュオでの活動も行う。その他、support surface、evam eva、mameなどのアパレルブランドのショーや展示会の音楽なども手掛けている。
haruka nakamura

高校1年の夏に学校をやめて、東京に来たんです。ギターを続けるには東京に行くしかないと思って。

―nakamuraさんは小さい頃からピアノを弾かれていたんですか?

nakamura:家にピアノがあって、5歳から弾き始めてました。でも、楽譜を見てそのまま弾くんじゃなくて、「自分で好きにアレンジして弾いていい」って思っていたので、そこはちょっと変わってたかもしれないです。ただ、小学生のときはピアノをやってるのが恥ずかしかったんですよね。

haruka nakamura 撮影:Yatoo Takashi
haruka nakamura 撮影:Yatoo Takashi

―それはどうしてですか?

nakamura:当時、ピアノって女子がやる習い事のイメージがあって、しかも「はるか」っていう自分の名前も女の子みたいだったから(笑)。そういうわけで、中学からはギターを始めてバンドをやってたんですけど、高校に入るとそのバンド仲間ともバラバラになっちゃったので、1年の夏に学校をやめて、東京に来たんです。青森の田舎出身で、周りには田んぼしかないような感じだったから、ギターを続けるには東京に行くしかないと思って。

―ずいぶん思い切りましたね(笑)。周りに何もないことに、ずっと退屈さを感じていたんでしょうか?

nakamura:いや、青森自体は大好きだったんです。自分が音楽を作るようになったのも青森の風景がきっかけでした。西日が見える家に住んでたから、陽が暮れていくのがとてもきれいで、その風景に似合うような曲を家のピアノで弾いてみたのが音楽制作の原点だと思ってて。ただ、環境を変えて、違う景色に合わせて音楽を作ってみたくなったのかもしれないです。

haruka nakamuraの故郷の夕暮れ 撮影:haruka nakamura
haruka nakamuraの故郷の夕暮れ 撮影:haruka nakamura

―東京では、音楽の専門学校に行ってたんですか?

nakamura:そうなんですけど、そこも1週間でやめるっていう(笑)。

―えー!(笑)

nakamura:周りが高校からドロップアウトしてきたような、変わった髪の色の怖そうな人ばっかりで、「ここじゃない」と思って(笑)。

―今みたいにネットで情報も調べられなかったろうし、行ってみたら思ってたのと違ったわけですね。じゃあ、16歳ぐらいでいきなり一人放り出されたと。

nakamura:ホント寂しかったです。ジム・ホール(現代ジャズ界のギターの巨匠と言われるアメリカ出身のミュージシャン)とか、好きなギタリストのCDに合わせて朝から晩までギターを弾いて、自分の声を忘れるぐらい一人で過ごしてました。みんなが高校で青春してるときに、僕はずっと家でギターを弾いてて……かわいそうですね(笑)。

―外に向けた音楽活動はしてなかったんですか?

nakamura:デモとかは作ってたんですけど、それをどこに送るでもなく……あるときから喫茶店をやりたくなっちゃったんですよ。それで、いろんなカフェで働きながら、デモを作ったり、あとセッションが好きだったんで、路上の黒人ドラマーに声をかけてセッションバーとかに行ってました。もともと音楽で食べていこうっていう意識はなかったので、それで十分だったんです。

―ちなみに、なんで喫茶店だったんですか?

nakamura:もともと珈琲を淹れるのが好きなんですけど、音楽を作るのも、受け手にとって1人でゆっくりできるような時間を作るっていう意味では、似た感覚だったのかもしれないですね。


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