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 引退を表明したフィギュアスケート男子の町田樹と、報道陣のやりとりは以下の通り。

 ――じゃあ質問……

 「いや、あの。今夜発表しようと思っていたことを、この場で話させていただいて、僕の思いをこれをもってお伝えするということにさせていただきますので、これから読み上げます」

 「みなさま、この度、私(わたくし)は、この全日本選手権大会をもちまして、現役の選手を引退することを決断致しました。近年では、スポーツ選手のセカンドキャリア問題が社会問題となるに至っておりJOCも問題解決に向け、アスリートセカンドキャリアサポート事業などに取り組んでいるほどです。私も、自分自身の選手引退後のキャリアデザインに苦労した1人です。しかしながら、周囲の方々のご指導の下、自分自身でセカンドキャリアへの一歩を踏み出せるよう競技を続ける傍らで、文武両道を胸に、ここまで準備をして参りました」

 「実は、今シーズン序盤、スケートアメリカに出場するためにシカゴへと出発する直前に、私は早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程2年制の一般入試を受験致しました。その合格が発表されたのは、スケートアメリカのショートプログラムが行われる日のことで、文字どおり、万感の思いで演技を致しました。その後も、シーズンを通して、私は文武両道を志し、今シーズンのプログラムであるバイオリンと管弦楽のための幻想曲と、第9交響曲の作品としての完成を目指して、周囲の方々の心強いご指導の下、初志貫徹で精進して参りました」

 「そして、今大会での自分の演技を終えた結果、私は自分の引退を本当に晴れやかな気持ちで、本日12月28日の朝、決断することができました。ご指導いただいている大西勝敬コーチにも、本日その意思をお伝えしたところです。約21年間の競技人生でしたが、何も思い残すことなく、誇りを胸に、堂々と競技人生に終止符を打てます。これもひとえに、関西大学、国際スケート連盟および日本スケート連盟、歴代コーチ、歴代振付師の先生方を始め、周囲の方々のご支援ご指導、また、家族の支えがあったからであり、さらには多くのファンの皆様の心温かい応援があったおかげです。本当に心から感謝を申し上げます。ありがとうございました」