韓国原発建設現場でガス漏れ事故、3人死亡

新古里3号機の建設現場で3人死亡
蔚山市民「ただでさえ原発の信頼が失われているのに」
韓国水力原子力「テロとは無関係、放射能漏れはない」

韓国原発建設現場でガス漏れ事故、3人死亡

 国の重要施設でもある原子力発電所では最近サイバー攻撃や内部文書の流出など深刻な問題が相次ぎ、警戒態勢が一層強化されているが、そのような中でまたも不祥事が発生した。26日午後、蔚山市内の原発建設現場でガス漏れ事故が発生し、作業員3人が死亡したのだ。

 国民安全処と韓国水力原子力(以下、韓水原)はこの日「今回事故で死者が発生した原発は、来年の稼働に向けて最後の工事が行われていた」とした上で「最近のサイバー攻撃とは無関係で、放射能漏れもなかった」と説明した。しかし専門家の多くは「今年の年末、国内の原発はどこも非常警戒態勢に入っているはずだが、そのような中、原発建設現場で死者が発生する事故が起きたことは、日常の管理がいかにずさんかを示している」と指摘した。

 韓水原によると、事故は26日午後5時18分ごろ、蔚山市蔚州郡の新古里原発3号機の建設現場で発生した。現場で作業中だった現代建設の協力会社・KTSソルーションズの50歳の作業員、テギル建設の41歳の作業員と23歳の作業員の3人が、窒素とみられるガスを大量に吸い込んで死亡した。

 現場にいたもう1人の作業員も中毒症状を起こしたが、幸い命に別状はなかった。作業員らは新古里原発3号機補助建屋の地下2階にあるケーブルが貫通する密閉された場所を巡回中だったという。事故直後の現場の様子について第1発見者の作業員は「作業員たちが予定された時間になっても巡回から戻らなかったので、様子を見にいったところ、意識を失って倒れているのを発見し、その場で通報した」と説明した。

 事故直後、中央救助本部蔚山化学救助センターの消防官が緊急出動したが、その時点で現場の酸素濃度は呼吸ができない14%ほどにまで低下していたという。大量の窒素が瞬時に広がり、空気中の酸素濃度が一気に低下したことが原因と推定されている。

 事故が発生した場所には、窒素など原子炉の稼働に必要な複数のガスを供給するバルブが設置されていた。原子炉では過熱を防ぐために海水が冷却水として使用されるが、窒素ガスは海水を内部に押し込むのに使用されている。警察と消防署は窒素ガスが漏れ出した原因など、事故の経緯について詳しく調査を行っている。

 先日「原発反対グループ」を自称するハッカーが、クリスマス以降月城原発2号機や古里1号機、3号機などの稼働中断を求めていることが報じられたが、今回事故が発生した新古里原発3号機はそれらとは別のものだ。

 今回事故を起こした新古里3号機は今年3月から140万キロワットの出力で商業運転に入る予定だったが、昨年試験結果報告書の捏造(ねつぞう)が問題となった不良制御ケーブルを使用していたことが分かり、これを交換するため運転開始は来年7月に先送りされている。現在の工程率は99%だ。

 取材に応じた蔚山市民(46)は「原発で事故が発生したというニュースを聞き、またサイバー攻撃かと思って驚いた」「国民の信頼が失われている状況で、今度は死者を出す事故が発生した。原発政策を行う政府は一体何をやっているのか」と不満を吐露した。

李仁烈(イ・インヨル)記者
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