CNN囲碁の棋譜を見てみた

2014/12/26 (Fri.)
    Convolutional Neural Network (CNN) で囲碁をやる論文がまた出ている (ちょっと前のはこれ) ということを研究室の先輩から教えていただき, 今日はほとんどその話をしていた. 次になにができそうか, など. ちなみに論文はこれ:

ICLRにも囲碁が出てくるのか...と驚いた. しかし, 2本の論文はほとんど同じことをやっていて, 囲碁の素性の違い, ネットワークのパラメータの違い, などの本質的でないところで差がついているだけな気がしている (まだしっかり読んでないので, てきとう). つまり, 偶然にも同じような論文がほぼ同時に出てきたということか. すごい!! 今, ニューラルネット会では囲碁が熱そうなので, 自分もNLPだけやっていないで本格的にGPW2015参戦を考えたい. ただ, 真面目にCNNやったりするのは個人ではきつそうなので, 自分の研究, つまりNLP的なアプローチが活かせそうな方針でいきたい. ちなみに, プロの棋譜をたくさん集めることだけはしてみた.
    CNN囲碁は全く読まなくてもFuegoに勝てることがある, ということでかなり凄い. しかし, この手の論文では, 個人的には「強くなりました」, 「勝ちました」などとだけ言われてもあまり心に響かない. やはり囲碁を打つ身としては, 具体的にどのような囲碁を打つのかというのが気になる. ICLRに投稿された論文では, なんと棋譜が掲載されていた!!!! というわけで, CNN囲碁 VS Fuegoの棋譜を見てみた. CNN囲碁は白番です.



三連星がなぜか上辺に..., などはさておき, 黒9までは別に変ではない. 白10はどこかな... 見つからない. ようやく見つけて驚愕.



定石的には白Aに打つところであるし, そもそも手抜くならなぜスベったのか...? しかも, なぜ左上を手抜いてまで三連星の内側からカカろうと思ったのか? ツッコミどころが絶えない (楽しいけど). 論文中のDiscussionでは, 「布石, 定石などを理解している」というように書かれているが...? そもそも大量の棋譜を覚えるように学習しているわけだから, 序盤はメチャクチャ上手いというのを期待していたので, ちょっと期待外れでもあった. 当初の予想では, 接近戦では弱いが, 序盤でリードできるからFuegoにも勝てたりするのかな, と. 人間でもたいてい強い人は, たくさん棋譜を並べていて, 「この手は○○が××戦で打っていた」などとすぐ言い始める (怖い). いくら明示的に何も教えていないとはいえ, たくさん棋譜並べして最初の10手がこれじゃあなぁ...今後もう少しなんとかしてくれることを期待. たぶんこれでもかなり革新的なのだろうから, あまり言いすぎるのもどうかと思うが.



さて, 黒11, 13のFuegoの手は普通である. 誰でもこう打ちそう. そして白14... いきなり気が変わったのかな?



黒15も攻める感じがでている. なぜこれで最終的にCNN囲碁が勝ったのかなぁ. 白30まで, なぜか白が外まわりをいい感じにしている...? まぁでも, 19路の広さで囲碁っぽくなってるのがやはり革新的なのかも. 昔先輩に, ごく普通のUCTだけで囲碁をプレイさせると, 19路ではメチャクチャな打ち方になるのを見せていただいたことを思うと, やっぱりすごいか. 突然ニューラルネット囲碁がおもしろくなってきたので, 期待したい.