法人税:中小企業対象の「軽減」2年間延長へ
毎日新聞 2014年12月26日 07時00分
政府・与党は、中小企業を対象にした法人税(国税)の軽減措置について、2014年度末だった期限を2年間延長し、16年度末まで存続させる方針を固めた。円安による輸入原材料価格の高騰などが中小企業の経営を圧迫しており、軽減措置の延長で、中小の経営を下支えする必要があると判断した。15年度税制改正大綱に盛り込む。
資本金1億円超の企業の場合、所得(もうけ)にかかる法人税率は25.5%。しかし、資本金1億円以下の中小企業は軽減措置が講じられ、08年秋のリーマン・ショック後は拡充されている。800万円以下の所得にかかる法人税率は現在15%。政府内で「すでに世界的な経済危機を脱しており、本来の中小向けの税率である19%に戻すべきだ」との声もあったが、中小企業の経営に配慮し、延長することにした。
一方、政府・与党は、企業が保有株式で受け取る配当金への課税強化策もまとめた。現在は持ち株比率が25%以上の会社からの配当金は全額非課税、0〜25%未満の会社からの配当金は5割が法人税の課税対象になっている。15年度税制改正により、非課税とするのは持ち株比率が33.3%以上の場合に限定し、5〜33.3%未満は5割、5%未満は8割をそれぞれ課税対象にする。
ただ、法律で株の保有が制限されている保険会社からは「大幅な増税になる」との反発が出ており、例外措置を講じる方針。具体的には、持ち株比率が5%未満で課税対象は配当金の6割にとどめる方向だ。
配当課税の強化により、年間の税収は1000億円程度増える見通し。政府・与党はこれも財源として、地方税も含めた法人実効税率(標準税率は34.62%、東京都で35.64%)を引き下げる方針だ。
15年度の下げ幅は2.4%台〜2.5%台にする方向で最終調整しているが、25日の自民党税制調査会小委員会で一部議員から「(経済の好循環に向け)強いメッセージを出すため初年度で3%の引き下げが必要だ」などと大幅減税を求める声が上がった。【横田愛、大久保渉】