大阪都構想:公明、住民投票賛成へ 衆院選受け方針転換
毎日新聞 2014年12月26日 12時22分(最終更新 12月27日 01時37分)
大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)が掲げる大阪都構想について、対立する公明党が、都構想の是非を問う住民投票の実施に賛成する方針であることが26日、分かった。住民投票には大阪府・市両議会で、都構想の根拠となる議案の議決が必要だが、公明などの反対により10月に両議会で否決されている。今月の衆院選で維新が比例で府内第1党を維持し、一定の影響力をみせたことから、方針転換したとみられる。
公明は住民投票実施の条件として、都構想の制度設計をする法定協議会を再開し、協定書(設計図)を作り直すことを求めている。公明府本部幹部は26日、毎日新聞の取材に「議論をやり直して納得できるものができれば、住民投票をしようという話だ」と話した。一方、維新の松井一郎幹事長(大阪府知事)は26日、府庁で記者団に「30日に法定協を再開し、2月議会に議案を再提出したい」との考えを示した。
府市両議会では現在、維新は過半数に満たないが、公明が賛成すれば、過半数に届く。
関係者によると、府市両議会の公明議員団幹部が24日、公明党本部の幹部らと会談。幹部らから、維新が求める住民投票まで協力するように指示されたという。25日夜には大阪市内で、公明府本部代表の佐藤茂樹衆院議員、府市議員団幹部が、橋下代表、松井幹事長と会談し、こうした方針を伝えたとみられる。
公明と維新は2012年衆院選で選挙区調整し、公明が都構想へ協力することと引き換えに、維新は公明候補のいる大阪、兵庫計6選挙区に対立候補を立てなかった。しかし、今年1月、大阪市を五つの特別区に分割する区割り案を巡り、公明など野党と維新が決裂。橋下市長は事態打開を図り、3月の出直し市長選で再選した。維新は法定協の委員を維新だけに改めて7月に協定書を完成させたが、都構想の根拠となる協定書議案は10月の府市両議会で、公明などの反対で否決された。
こうした状況の中で今回の衆院解散・総選挙となり、橋下市長は「公明にやられたまま人生を終わらせることはできない」と言い、松井氏とともに佐藤氏ら公明幹部のいる選挙区からの立候補を検討。最終的には両氏の立候補だけでなく、兵庫、大阪の6選挙区でも対抗馬擁立を見送り、いずれも公明候補が当選している。
都構想の実現には府市両議会での議案の議決に加え、住民投票で有効投票の過半数の賛成が必要。【林由紀子、山下貴史】