東電:「賠償金額を変更せず」合意書に記載復活

毎日新聞 2014年12月26日 07時00分

 東京電力が福島第1原発事故によって汚染された田畑や山林などの賠償金を被災者と直接交渉して支払う際に交わす合意書に、「今後、賠償金額は変更できないことに合意する」などと記載していたことが分かった。被災者が後日、裁判などで賠償の増額や追加を求める権利を奪う可能性がある表現で、東電は毎日新聞の取材に「誤解を招く表現で謝罪する」としたうえで「合意書の文面を見直す」と説明した。

 東電は賠償を開始した2011年9月、「金額について、一切の異議・追加の請求を申し立てない」と記載した合意書の見本を公開したが、国会などで被災者が裁判を起こす権利を奪うなどの批判を浴び、撤回した経緯がある。

 東電によると、今年9月以降、田畑や山林などの賠償の合意書に「今後、再度請求できないこと、賠償金額は変更できないことに合意します」などの記述を加えた。東電広報部は「同一の土地で、田畑の賠償請求と山林の賠償請求が二重に行われないようにするためだった」と説明した。【高島博之】

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